「風の谷のナウシカ」を語る。
こんばんは映画「風の谷のナウシカ」をやってます。
1984年公開以来、何度もテレビでやっていますね。
他の宮崎アニメはともかく、ナウシカはその度に見てしまいます。
10代の時に感動したものっていうのは、いつになっても心穏やかではいられないものなのかもしれません。
見るたびに、アニメオタクな中学生に戻ってしまうのです。。
というわけで。
「風の谷のナウシカ」のここがすごい!を語ります。
ナウシカがかっこいい
ナウシカという主人公がまた、唯一無二というか、かっこいいです。
目的と行動に、一切の無駄がない。
異変を感じたら、即座に自ら確認。
状況を瞬時に判断し、できる範囲での最適な方法をチョイス。
あらゆる状況でも対応できる優れた技術や能力を身に付けている。
部下への指示は端的で的確。
物事の本質を見つめようとする探求心とまっすぐな目。
ここぞという時は、身を呈して最前線へ身を投じる。
生き物すべてに向けられる優しい心。
組織のリーダーは、ナウシカからどうあるべきか学ぶべきなんじゃないでしょうか。
「ミト、シリウスに向かって飛べ」…一番好きなセリフです。
その後レバーを引きちぎってワイヤーをつたいメーヴェに乗り移るところ、最高。
飛行シーンに酔いしれる。
宮崎駿は飛行機マニアですが、そのマニアックぶりが遺憾なく発揮されているのもこの映画のみどころ。
紅の豚は飛行挺しか出てこないけど、ナウシカはいろんな種類の飛行機や飛行物体が出てくるのが楽しいし、物語の半分は飛行シーンなのでは。
こどもオームをぶら下げてたブリック、どうやって飛んでるの?
なんとってもメーヴェがよくできている。
実際は風の抵抗など操るのは難しいのだろうけれど、立っても臥せってもぶら下がっても飛行できる使い勝手のよさ、見た感じとっても軽そうで、船にも積めるコンパクトさが素晴らしい設計。
飛んでる姿はほんとに気持ち良さそう。
風の谷のガンシップもカッコイイ。
昆虫みたいなデザインなんだけど、目のところも足の下が見えるようになっているのなど機能性もちゃんと考慮されている。
スピードも頑丈さもあわせ持つ最強戦闘機。
ミサイルもバンバン打てるし。
トルメキアのコルベットがペジテの船に乗り移ろうと、雲を利用して乗っかってくるのもおもしろいなと思うし、なによりその後、アスベルが足でメーヴェを押してナウシカを空に飛び立たせるところは圧巻。
結構、残酷。
巨神兵を所有していたペジテ市は、それを利用しようとした大国トルメキアに襲われ、国を逃れようとした市民の船は虫に襲われて墜落、炎上。
そのペジテ市も、人為的に虫に襲わせてトルメキア軍と自らの市を全滅させる。
その船が落ちた風の谷は、その翌日にトルメキア軍に襲撃され、国王は殺され、国民は捕虜状態、王女(ナウシカ)は人質に。
あげくその時の胞子が繁殖し、森を焼き尽くさなければならない破目に。
ペジテ市はさらに、風の谷に駐在しているトルメキア軍を全滅させるため、虫の大群を仕向ける。
とにかく戦争ってものの酷さが物語を覆っています。
大国の有無を言わさぬ横暴さ、それを前にした小国の無力さ、反撃方法の悲惨さがひどい。
絵がかわいいからごまかされているけれど、悲惨な戦争映画なんですよね。
最後ナウシカがオームの群れの暴走を止めなければ、世界は滅亡していました。。
そんな中、そのペジテの女性たちがナウシカを助けるというのも泣ける流れ。
そういうのをしっかり描いているところがいいです。
壮大な世界観
毒素を放出する菌類が支配する腐海とそこに棲む虫たち、そのほとりでほそぼそと暮らす人間の営み、性懲りもなく戦争を繰り返す愚。
80年代はまだ終戦の影も残っていて、冷戦は続いていたし、高度経済成長で自然破壊も深刻になっていた背景があるけれど、それを踏まえてこんな世界を物語の中に産み出してしまう宮崎駿はただただすごい。
美しい音楽
この壮大で独特な世界観を支えている久石譲のサントラがきれいです。
メーヴェの飛行シーン、戦闘シーン、腐海の底の夜のシーン、どの場面も引き立てています。
サントラのレコード(!)、持ってます。よく聴いてた。。
アニメーターとして庵野秀明氏も参加している他、飛行シーンにはかかせない金田伊功氏も宮崎アニメ初参加。監督の宮崎駿氏を優秀な人材が支えています。
いろんな意味で名作と思いますが、原作の漫画のほうは物語の深さが映画の比でなく、読みごたえあります。
唯一の不満はクシャナを悪者っぽく描いているところでしょうか。
原作では裏主人公というべき重要でかっこいいキャラクターなので、映画でああいう設定はちょっと残念。
すでに語り尽くされている感もありますが、いい機会なので思ってたことをまとめてみました。
ジブリは魔女の宅急便までが好きかな。宮崎アニメはやはり空を飛んでないと。
漫画も↓おもしろいです!が、内容を理解するのに何度も読み返さないといけない。。
ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版)
- 作者: 宮崎駿
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2003/10/31
- メディア: コミック
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お正月にかかりやすい国民病とは?
お正月、いかがお過ごしでしょうか。
のんびり過ごすのもよいですが、初詣やバーゲン、実家へ帰省など忙しくされている方も多いのかも。
そんなせっかくのお休みに、思わぬことで悩まされることがあります。
それは、おしりの痛み…痔ですね。。。
お正月は、痔になりやすい原因がいくつもあります。
寒い
年末年始はクリスマス寒波と言われることもある強い冬型の気圧配置で、急に気温が下がることが多くなる時期です。
寒いと血行が悪くなりますが、特に足が冷えるとおしりにもよくありません。
動かない
休みに入って通勤もなく、普段より運動量が減ります。
正月くらいゆっくりしたいと言って、ごろごろしてしまうこともありますね。
また車で帰省するような場合は、長時間座りっぱなしになりますがこれもよくありません。
血行が悪くなる他、便秘になりやすくなります。
普段と違う食生活
おせちをはじめとして、カニだマグロだと豪華な食事内容になったり、食事量も食べる時間も乱れることも多くなります。
お酒を飲む機会も増えたりします。
飲酒は血行がよくなりそうですが、下痢など便の状態を不安定にするのでよくないのです。
寝不足
年越しを迎えるために夜更かしをしたり、12時を過ぎてから初詣に出掛けたり、初日の出を見るために早起きしたり。
寝不足だと疲れが溜まり、鬱血もしやすくなります。
東洋医学的にも、痔は血の停滞、瘀血が原因とされることが多いです。
体質的なものもありますが、上記のような原因で一時的な瘀血の場合は、少しからだを動かしてみるのもよいかと思います。
一番いいのは、たくさん歩くことです。
遠くの神社まで歩いて初詣にいってみるとか、1、2時間の空き時間をみつけて外に出掛けてみるとよいかもしれません。
そして温泉やスーパー銭湯などでからだを温めるのもおすすめです。
痔は3人に1人は患うという疾患なので、特別な病気ではありません。
生活習慣に気を付ければ防ぐこともできます。
鍼灸治療でも改善可能です。
他の治療のついででも考慮してみますので、恥ずかしがることなくご相談ください。
ルーベンス展に行ってきた!
お正月休みは毎年、どこかの美術展に行っています。
今年は上野の西洋美術館で開催中のルーベンス展へ。
豪勢な感じで年明けです。
アントウェルペン(ベルギー、アントワープ)を拠点に活動していて、「フランダースの犬」で主人公のネロが憧れた画家で有名かも。
ルーベンスといえば
劇画調のドラマチックなテーマ
白い肌に赤い頬
肉感的な身体表現
あおり多用の画面構成
が特徴的と思っていますが、今日の展覧会はどんなでしょうか?
今回のは、思ったより小さい作品が多いかなーという印象もありましたけど、見ごたえあるドラマティックなものもいくつかあり、なかなか楽しめました。
とはいえでかい教会の祭壇の両脇に描かれている宗教画ってイメージがあったので小さく感じただけで、作品としては充分大きいんですが。
やはり迫力はありますね!
だいたい同じ時代でお隣のネーデルランド(オランダ)で活躍したレンブラントと比べると筆致が雑なところあるんですが、あの時代に緻密に描かないこと自体逆にビックリ、でもそのおかげで絵に迫力が増しています。
「聖アンデレの殉教」って作品が特に力強く、Xのかたちに磔にされている人物が中央にバーンと配置されて画面を切り裂き、そのからだには光が当てられ、目線は天を仰ぎ、天使が飛び交い、人々が群がり、、ルーベンスらしさが凝縮という感じ。
もう少し作品の点数があると見ごたえ感も増したかなと思いましたが、集めてくるのも大変ですね。
まあでも、西洋美術館は特別展の物足りなさを補って余りある常設展の充実ぶり、という特典があります。
今回のルーベンス展にも、西洋美術館所蔵作品がありました。
ルーベンスも持っていたんだなぁ。
東京新美術館とかだとそうはいきませんからね。
もうひとつ展覧会を観るくらいの価値ありますので、ほんとお得です。
今日も良品揃いですばらしかったです。
ラ・トゥール「聖トマス」
クールベ「波」
など教科書に載ってたかもって作品を始め、ファン・アイクからデュビュッフェまで美術の歴史を30分くらいで見て回れるので見ごたえあります。
みんな大好き印象派も一部屋使ってモネが10作品くらい贅沢に飾られていましたし、なにより一番最後に藤田嗣治持ってくるところなど、美術ファンの気持ちよくわかっている、とかいう気もします。
企画展と常設展を連続で観ると疲れるんですが、そこはちょっと頑張ってよかったです。
この西洋美術館所有の作品を中心とした「松方コレクション展」が夏に開催される予定らしいので楽しみです。
スピッツ「空も飛べるはず」をあらためて聴いてみて。
最近SUUMOのCMで、「空も飛べるはず」が女性のカバーで使われているバージョンが流れていますね。
正月に実家にてテレビをみていたら、そのCMが流れ、それにあわせて歌ったりしました。
うろ覚えのはずなのに、わたしの鼻歌を耳コピしてメロディーをピアノで弾き始めた姪。
その後左手のためにコード譜を見せてあげたら、曲が完成してしまいました。すごいな。
彼女のピアノに合わせて即興カラオケです。
ピアノが弾けるって羨ましい。
「空も飛べるはず」はスピッツの三大ヒット曲のひとつで、音楽の授業や合唱でも歌われるほど浸透している曲です。
ヒット曲はファンだけでなく、一般リスナーにも広く共感するような分かりやすい歌詞やメロディーなことが多かったりします。
そのため、そのミュージシャンのファンからは、もっと他に彼ららしい曲があるのに、、などと思われる場合もよくあります。
スピッツはアルバムも15枚出していていい曲がたくさんあるので、あえてヒット曲を聴くことはあまりしていませんでした。
それで今日久しぶりに歌ってみて、ヒット曲なのに(というのも変ですが)スピッツらしいいい曲だなと、あらためて思わされました。
幼い微熱を下げられないまま
神様の影を恐れて
隠したナイフが似合わない僕を
おどけた歌でなぐさめた
色褪せながら ひび割れながら
輝くすべを求めて
10代の頃って、大人が思うほど充実していたり、楽しかったりはしていないものです。たぶん。
回りに合わせて自分を押し殺したり、感情の振れ幅が大き過ぎてもて余したり、ほんとにやりたいことや自分の意見もはっきり掴めていなかったり。
強がってみては空まわりしたり。
反抗してみても後ろめたさがあったり。
そんなモヤモヤした思いを内に抱えてやり過ごしている、その感じがこの歌い出しの歌詞にそのまま表現されているよなぁ。。と思うんですね。
それが、
君と出会った奇跡がこの胸に溢れてる
きっと今は空も飛べるはず
好きな子と出会ったとたんに、空飛んじゃうくらい突き抜けてしまう。
飛べるはずっていうのがいいですね。
何でもできそうな気持ち、その気持ちだけが先行してる感じ、それもやはり若さゆえ。
2番の最後、
ゴミできらめく世界が僕たちを拒んでも
ずっとそばで笑っていてほしい
ゴミできらめく世界とは大人の社会のことだと思うわけですが、好きな子がいたらそんな反発心も強気に見せてしまえるんだなと。出だしのモヤモヤはどこへ。
でもきっと、この歌詞になんとなくでも共感するところを、みんなどこかに抱えているから支持されているのかも知れない気がします。
こんな言葉に言い表せないような感情を歌詞にして美しいメロディーにのせ、ふわっと歌ってしまえる。
イントロのギターのリフもどこかさみしげで、でも暗くはない、そういう絶妙なバランスもいかにもスピッツらしく。
やはり、名曲でした。
これに収録されてます↓
生理を嫌いにならないで。
女性なら生理について悩みを抱えている方も少なくないと思います。
お腹が痛くなったり、イライラしたり、ミスが増えたりと、生理前や生理中はいつもどおりにからだが働かず、もどかしい思いをすることもあるでしょう。
ですが、生理がきちんと毎月訪れるのは女性として健康であるということの証しでもあります。
生理を観察することで自分のからだの状態を見直し、健康に過ごすための指針とすることができます。
生理は精神的な影響も受けやすいので、からだだけでなくこころの異常も反映されます。
生理がきちんとこないとき、生理痛やPMSがひどいときはなにかあったかを振り返ってみるよい機会と考えることもできるのです。
無月経はそのままにしていると不妊に繋がりますし、生理痛がひどいからと鎮痛剤を常用すると肝臓に負担がかかります。
生理に何かあるということは、からだが一生懸命異常を訴えているとも言えます。
からだからの声を無視せず、耳を傾けてからだをケアすることを考えてみてほしいと思います。
からだの状態を観察する癖をつけておくと、足を冷やすと生理痛がひどくなりやすいな、とか排卵の時に少し頭痛がするな、とかが見えてきたりもします。
また、いつもの状態とちょっとおかしいなという時との違いもわかるようになります。
台所や仕事の机の上を作業を終えた後に毎日片付けておくとひどい汚れがたまらないように、からだもちょこちょこメンテナンスしておくと大事になることを避けられると思います。
からだのことですので、それでも問題が発生することもありますが。
要するに、からだをメンテナンスするのに生理を利用しない手はないということです。
うっとおしい生理ですが、ぜひ味方につけてからだをより健康に保つようにポジティブにとらえていただけたらと思います。
鍼灸治療はどこで生まれた?
鍼灸治療はその名のとおり、鍼(はり)ともぐさを燃やすお灸を使ってからだの不調を取り除く療法です。
でも、なぜはりやもぐさを使って治療することになったのでしょうか?
からだに針を刺すとか、もぐさを乗せて燃やすとか、、なかなかですよね、考えてみると。
鍼灸治療が生まれたのは古代の中国なのですが、その発生にも理由があり、その解説も黄帝内経という古典に記述がみられます。
それによると、地域やその気候にもとづいたニーズが、それらの治療法を生んだということがわかります。
どういうことか、地域ごとに説明していきます。
北方
北の地域では、お灸による療法が発達しました。
北は寒い地域ですので、冷えによる不調になりやすいのは分かりやすいと思います。
そのため、からだを温める治療が必要となったわけです。
火にあたると温まりますが、それを病変の起きているところや治療によいポイントなどに集中的にもってくることはできないか。
それを目指して試行錯誤した結果、もぐさを皮膚に乗せて燃やせば、極限まで火をからだに近づけることができ、温かさをからだの奥に届けることができるとわかったのだと思います。
南方
南の地域では鍼による療法が発達しました。
南は暑い地域ですので、よく汗をかきます。
また、暑い(暖かい)ので、からだを動かすことが苦にならず、肉体労働が多くなります。
筋肉をよく使い、汗をかくと、筋肉はひきつりやすくなります。
ひきつった筋肉のけいれんを弛めるのに、強い刺激はかえってよくありません。
小さいけれど効果的な刺激を与えるのには何がよいか。
いろいろ試してみた結果が、鍼だったのだと思います。
古代から現代に至るまでに鍼はどんどん繊細さを追求されていき、今や髪の毛と同じ細さのものが用いられるようになりました。
細い鍼でも充分効果があるのは、これまでの臨床結果の積み重ねによるとも言えます。
東方
東の地域では、外科的な療法が生まれました。
東は中国では海に近いところになります。
海に近いと海産物を多く摂るので、塩分の摂取が多くなります。
塩分過多の食生活をしていると、血が粘りやすくなり、できもの(腫瘍)ができやすくなります。
それを取り除くために、それを切開するへん(石へんに乏)石という、楔型の石塊が用いられるようになりました。
へん石は、中国最古の医療器具と言われています。
現在残っている道具を使う療法では鍼と統合していったと考えられます。
西方
西の地域では、薬による療法が発達しました。
西は山や草原のある地域になります。
放牧が盛んで家畜の肉や乳を食すので、からだは太りやすく、内臓に問題が出やすくなります。
そのため、からだに薬を取り込んで治療する方法がとられるようになりました。
薬になる材料も、山や草原から確保できます。
これが現在の漢方薬の原型と言われています。
中央
国の中央では、運動や按摩(あんま)による療法が盛んでした。
中央はつまり政治の中心地、都があるところです。
つまり都会ですね。
都会なので肉体労働より頭脳労働が多くて運動不足になる上、よい食べ物が手に入り易いことや湿度が高めの気候の影響で、気血の巡りが悪くなりやすいのです。
運動による療法は導引といい、古典には動物の動きを真似たものや、呼吸の方法が工夫されたりなど、様々な動作が紹介されています。
現在ヨガやピラティスが盛んな様子と似ています。
按摩についても同様です。
これも現在マッサージを受ける人が多いことと共通していますね。
東西南北と中央で、五行に準じて説明がされていますが、若干こじつけっぽいところもあります。
それでも治療法として現在まで続いているわけで、膨大な臨床データと研究の積み重ねが現在の治療法として確立されていると考えると、東洋医学は理論もデータも踏まえた信用できる医療体系だと考えられると思います。
それをいかに治療に活かせるかは、治療を行う私たちにかかっているわけですが。
古典や文献をすべて読み尽くすこともできませんし、一生勉強しても足りないなかで、よりよい治療を目指すしかないと思っています。
とにかくからだによい野菜、とは?
トマトが赤くなると医者が青くなる。
とか
一日一個のリンゴは医者を遠ざける
とか、健康にまつわる食べ物の諺はいくつもあります。
日本にも食べ物に関する諺はたくさんありますが、健康に結び付くようなものは意外と少ないかもしれません。
諺ではありませんが、「常に食すべし」と言われた食べ物があります。
それは、大根です。
江戸時代中頃、医者であり儒学者であった貝原益軒の記した著書に、「養生訓」というものがあります。
現在でいうところの健康ガイドブックともいうべき内容で、食べ物はもちろん生き方考え方にまで及ぶ、長生きして人生を楽しむためにはどうしたらいいかのすべてが項目分けされて記述されています。
その中で、からだによいとして絶賛しているのが大根なんですね。
大根はジアスターゼというでんぷんの消化を助ける酵素のほか、様々な消化酵素を含んでいます。
米をたくさん食べた江戸時代の人たちには、でんぷんをよく消化してくれる大根はありがたかったでしょう。
また、大根に含まれる辛味成分は咳を止めたり、喉の痛みを和らげる働きがあります。
炎症を鎮める作用があるのです。
京都の了徳寺というお寺では、毎年12月、大根を炊いて振る舞う行事があるそうです。
温かく炊いた大根を食べると中風にならないという言い伝えがあるそうなんです。
中風とは今でいうところの脳血管障害(脳出血、脳梗塞)でそれの後遺症である麻痺も含んだ病名です。
大根で中風が防げるかは難しいところでしょうけれど、大根が病を防ぐという考え方は根付いていたと思われます。
だからといって大根ばっかり食べていればいい訳ではもちろんありません。
養生訓では他にも、五味(酸、苦、甘、辛、塩)をバランスよく摂るべし、とか、腹八分目を心がけようとかということも述べています。
冬の大根は辛味も少なくなっていますので、大根をすすんで料理に使ってみてはいかがでしょうか。