怒りは自分も他人も傷つける。
パワハラ、DV、クレーマー、モンスター○○、あおり運転、駅員さんへの暴力。。
最近「怒」による犯罪が増えているように思います。
今までもあったのかもしれませんが、世の中全体に余裕がなくなってきたのか…怒っている人が多いな、という印象です。
ニュースなどで見る限り、普通は考えられない暴力や虐待に走っている場合も多く、まったく感情のコントロールが効いていないようです。
日常生活において頭にきたり、イライラすることは喜怒哀楽のひとつとして誰でも普通にあることだと思いますが、彼らはどうしてそこまで?と、理解しがたいほどの「怒」をまき散らしています。
「怒」の感情は肝にかかわるので、東洋医学的には、これらの行為を行っている人たちは肝の機能が失調していると考えられます。
つまり肝の陰が失われ、陽が旺盛になり過ぎているのです。
中医学的に言うと肝火上炎か肝陽上亢の状態になっています。
肝気が鬱滞したり、肝の親である腎陰が虚して肝陽が旺盛になるなどして、肝の陽は火のように燃えあがってしまうのです。
燃え上がった火は制御不能となり、肝の発散する性質により外、つまり他人へ向けられます。
そして、肝→脾の相克関係によって、怒の感情をぶつけられた方は、脾の五志である「思」が壊されてしまいます。
怒りをぶつけられることで、思い悩み過ぎてうつ病になったり、DVを受け続けているうち思考停止に陥ったりするのも、その人の脾の感情面での機能が働かなくなってしまったのだと考えられます。
一方、怒っている本人の中での五行の関係でも脾がやられますので、本人も思考が停止しています。
こんなこと言ったら相手はどう思うか?
こんなことしたら自分はどうなるか?
そんな簡単な答えがもはや出せなくなっているのです。
とはいえ、肝火のせいだからと犯罪行為が許されるわけではありませんが。
肝を傷つけるのは、過労などのほか、ストレスが大きいです。
もともと肝虚タイプの人は、思い通りにてきぱきと物事を進めたいと思っています。
それがうまく機能していれば、まわりを引っ張っていけるリーダーになったり、段取りよく業務をこなせる仕事のできる人になることができます。
そんな性質が、ストレスで肝が傷つくことで増悪し、自分の思い通りにできなければキレる、イライラしてまわりに当たり散らすという方向に向かってしまいます。
本人は、それがもともとの性格のせいだと思っているのか間違ったことをしているつもりはありません。
そういう人たちは、もしかするとからだが比較的丈夫で、肝の変動がからだではなく心に出やすいのかもしれません。
その分、バランスがおかしくなっていることにも気づきにくいんだと思います。
ストレスとどう付き合っていくのか、なかなか難しい世の中ではありますが、自分を見失うことにはならないようにしたいですね。。