夏は汗をかいたほうがよいが、注意点もある。
とうとう梅雨が明け、暑い毎日が続くようになりました。
気温が高いとちょっとあるくだけでも汗が出ますね。
うっとおしいですが、からだの熱を冷ますために備わった機能ですので、うまく付き合っていくのが大事です。
なぜ、汗をかくのか?
からだは常に、余分に熱を作って、余った分を放出して冷ましています。
なにかあってすぐからだが冷えてしまうのでは命の危険に直結しますので、熱を多めに作っておいて使わなかった分は捨てるという方法をとったのだと思います。
気温が高い環境下では、その放出が難しくなります。
そのため、夏や運動時は水分が蒸発するときに熱を奪う作用(気化熱)を利用して熱を下げるようになります。
それに必要なのが、汗なんですね。
この強力な冷却機能があるため、人間はマラソンのような継続的に筋肉を使って熱を産出するような行動もとれるようになっています。
暑い環境では、たいがいの動物は日陰でじっと過ごします。
汗をかくことで、人間の行動範囲は夏や熱帯地域でも広がったといえるのです。
汗をかくことによるからだの変化
涙や唾液、尿など、体外に分泌される体液は血液からできていますので、汗も血液からできています。
夏は汗をかくために、皮膚に血液が集まりやすくなっています。
そのため、脳や内臓に供給される血液量がちょっと足りなくなる場合も起こりえます。
そうするとふらつきやめまいを引き起こしたりします。
暑いと食欲が落ちるのも、内臓にまわる血流量が減るのも一因かと思います。
また、血液に含まれるナトリウム、カルシウムなどのミネラル(電解質)も汗と一緒に排出されます。
いちおう汗腺から皮膚の外に排出されるまでにミネラルが再吸収されるしくみがあります。
しかし大量に発汗したり体調が悪いと、その再吸収がうまくできない場合があります。
ミネラルは神経の情報伝達や筋肉の動きに関与しているので、不足するとやはりふらつきやめまいが起こったり、筋肉が痙攣したりします。
これらは熱中症の初期症状ですので、そのような体調の変化が現れたらすぐに涼しいところで安静にして、水分を補給しましょう!
血液の水分量が少なくなると血栓も生じやすくなりますし、尿が少なくなって排出されるべき不要物が溜まりやすくなります。
汗をかいたらさきほどの症状がでてなくても、水分補給は必要です。
なお、ぐったりするくらい脱水が進んだ場合、つまり熱中症になっている場合は、水だけはかえってNGです。
ただでさえ発汗で血中のナトリウム濃度が下がっているのに、そこに水を飲むとさらに薄まってしまうので、からだが拒絶してしまうのです(吐いてしまう場合もある)。
その場合は、塩分や糖分の濃度が調整された経口補水液を摂るようにします。
汗がなかなかひかない時の注意点
お風呂上りなどでいつまでも汗が垂れてくる、というのは困りますよね。
そこでエアコンの風を全身に浴びて一気に冷やすという方もいるかもしれませんが、それはNGです。
汗で排出されるべきからだの熱がこもってしまい、だるくなったりのぼせたりします。
バスタオルやバスローブなどでからだを包み、エアコンの効いたすずしい室内で汗が自然に引くのを待つほうがよいと思います。
外出先などで汗びっしょりになったら、できれば着替えたほうがよいです。
濡れた服がからだに張り付いていると、必要以上に冷えてしまいます。
エアコンの風が当たったりしたら、なおさらです。
着替えが難しい場合は、汗でぬれた服とおなかの間にハンカチやタオルを挟むなどして直接肌に触れないようにするとよいかと思います。
発汗はとても大事な機能ですが、対応を間違うと熱中症という致死率の高い症状に直結することもあり、注意が必要です。
服に沁み込んだ汗だけでなく蒸発している分もありますので、汗をかいたと思ったらこまめな水分補給は必須だと思っておいていただければと思います。
なお、アルコールは水分補給にならないばかりか、脱水を促します。
のどが渇いた時のビールはおいしいですが、その後の水分補給は忘れないようにしましょう!