菌がなくても膀胱炎になってしまう理由とは。
寒くなったり、疲れたりすると、あのイヤーな感じが。。
膀胱炎を繰り返す方は多いですね。
膀胱炎は一般に、大腸菌などの雑菌が尿道から侵入して膀胱に炎症が起こる病気です。
通常膀胱は無菌状態なんですが、抵抗力が落ちていたりすると菌に対抗することができなくなってしまうのですね。
女性の場合、尿道が短いので膀胱へ菌が入りやすいという解剖学的な傾向もあります。
膀胱炎の主な症状は
- 頻尿
- 排尿痛
- 残尿感
- 尿が濁る
- 血尿
などがあります。
さらに腎臓まで菌が侵入すると、腎盂腎炎となって発熱してしまいます。
こうなるとつらいですので、膀胱炎の段階で治療しておきたいところです。
一般に細菌感染症には抗生物質が処方され、これで菌が死滅すれば症状が収まって治るわけですが、細菌の排出のため、水分をたくさん摂り、トイレに行く回数を増やすのも、膀胱炎の治療として行われています。
こうして細菌を排除することで治る場合はよいのですが、案外細菌がもう膀胱炎を起こすほど見られなくなっても、不快感とか尿意の切迫感が取れないということも多くあります。
間質性膀胱炎とも呼ばれることがありますが、こうなると治療が難しくなってきます。
このような原因がはっきりしない膀胱炎に、鍼灸治療という選択はおすすめです。
東洋医学での膀胱炎の考え方
膀胱炎は、炎症反応の一種であり、東洋医学でも熱が膀胱に影響して発症すると考えます。
からだの中の余分な熱が膀胱にこもって、または他の臓腑からの熱の影響で膀胱炎になってしまう訳です。
こういう膀胱炎の時は、尿の色が濃かったり、臭いがしたりなど、熱性の反応がみられます。
膀胱自体が熱をもつ腑ではないので、膀胱に熱が及ぶ機序は少し複雑になりますが、要は五臓のどれかの虚の影響で熱が発生しているので、そこを治療していけばよいということになります。
これは細菌感染性の膀胱炎に似ているかなと思います。
膀胱炎で鍼灸治療とは思いつかないと思いますので、抗生物質を飲んでしまった方が早いかもしれませんが、鍼灸に通っている方でしたら、都度の治療で楽になると思います。
抗生物質で下痢しやすいとかいうことがある場合も、鍼灸治療はよいと思います。
さて、抗生物質を飲んでもスッキリ治らない、病院で調べたら菌はもうあまりみえないと言われたというような場合の膀胱炎はどう考えればよいでしょうか。
これは膀胱の働きが落ちている状態です。
東洋医学のからだの生理では、膀胱は腎が回収した余分な水分を溜めておく場所ですが、腎が虚していると腎の水分コントロール機能が低下しますので、必要以上に水分が膀胱に送られたりなどして膀胱に負担がかかります。
腎が虚すにはその親の肺がうまく働いていない場合もあります。
肺は通調水道といって、からだ中に水分をいきわたらせる働きがあります。
肺がからだ中に撒いた水を、腎が回収するというイメージです。
そのため、肺が悪くても、水分代謝に影響が出ます。
また、腎はからだ全体を通じて、堅く引き締めるという働きがあるのですが、その働きが弱まると尿を溜めておくことができず、頻尿になります。
なお、驚いたときに失禁することがあるのも、一時的な腎虚です。
「驚」は腎と同じカテゴリーの五情で、腎に影響を及ぼす感情ですので、驚くことで腎の引き締める力が失われてしまうのです。
さて、余計な水分が多くなっているということは、冷えている状態ともいえます。
冷えているのでさらに機能低下という悪循環になっているため、この場合の膀胱炎は下腹部や腰を温める、または冷やさないことが大事になってきます。
例えば足元が冷えるオフィスで座ったままの長時間に及ぶパソコン作業などは、悪化の原因になります。
エアコンの温風やPCで上半身は暑いくらいとなると、ますますからだの上の方に熱が集まってしまいます。
膀胱炎にかかりやすい方は、冷えない環境づくりを工夫してみるのも予防につながります。
熱によるか冷えによるかで治療は変わってきますが、陰を養ってあげるというところは同じですので、睡眠をとって休養することが大事です。