女性のための鍼灸院 すばるのブログ

横浜市港北区大倉山。静かな町の片隅にある鍼灸院です。鍼灸を通して、妊活、美容鍼、更年期などの女性のお悩みに取り組んでいます。

どうして病気にかかるのか①外因

先日、インフルエンザの記事にて、感染症は疫癘と呼ばれる不内外因に分類される病因だと書きました。

 

subaruhari9.hatenablog.com

 

その前に、病気の原因についての東洋医学的考え方についてきちんと書いていなかったなと思いましたので、今回はそれについて説明してみようと思います。

 

東洋医学では、病気の原因を

  1. 外因
  2. 内因
  3. 不内外因

の3つに分けています。

外因は、人間を取り巻く自然環境が原因のものです。

内因は、人間のからだのこころの動きに原因があるものです。

不内外因は、外因、内因どちらでもない原因をいいます。労倦(働き過ぎ)、房事過度、疫癘(感染症)、飲食不節、外傷などです。

 

さて、外因についてですが、外因は自然環境の変化にからだが悪影響を受けてなんらかの不調をきたします。

自然環境の変化とは、風・暑(火)・湿・燥・寒の6つで、六淫(りくいん)とも呼ばれます。

(六淫と呼ぶときは暑と火を分けていますが、一般には一緒に考えます。)

この5つ、見覚えがあるかもしれませんね。

風・暑・湿・燥・寒は五邪ともよばれ、春・夏・長夏(土用)・秋・冬の季節の気候と同じです。

つまり、夏の暑さや冬の寒さなどが原因で病気になるということです。

しかし、夏暑いからと言って、すべての人が病気になるわけではありません。

もともとからだにかたよりがあり、そこに外因が加わることで気血津液のいずれかが侵されて病気になります。

五邪といいつつも、健康な人にとっては邪にはならないわけで、季節の変化で病気になる人とならない人がいる、ということになります。

からだのかたよりとは、もともとの体質、年齢、疲れ、産後など様々な要因があります。

とはいえ、まったくかたよりがなく完璧な人は存在しませんので、程度問題ということになります。

例えばもともと脾虚タイプの人は、湿度の高い梅雨の時期などに倦怠感や頭痛などがでやすくなります。

肺虚タイプの人は、空気が乾燥してくる秋に、のどを傷めやすいです。

 

そして少し複雑になりますが、肝・心・脾・肺・腎の五臓はその関連する邪だけでなく、すべての邪から影響を受けます。

例えば湿邪は脾を傷りやすいとはいえ、脾だけが病むとは限らない、ということです。

これは五行の関係性により、病の出方の強弱を考えることができます。

風(肝と同じカテゴリの邪)で見てみましょう。

風→肝=五行が同じで正邪と言います。(まあまあ。治療しやすい)

風→心=心は相生関係で肝の子で、虚邪と言います。(あまりよくない)

風→脾=脾は相剋関係で肝から尅される側になり、賊邪と言います。(一番ひどい)

風→肺=肺は相克関係で肝を尅す側なので、微邪と言います。(一番軽い)

風→腎=腎は相生関係で肝の親で、実邪と言います。(そんなにひどくない)

結局、外因がなんであれ病んでいる臓を治療しないといけないわけですが、その時にその邪に関する臓の経穴を用いたりなど、関係性がわかっているとそれを治療に活かすことができます。

どんな外因がどの臓をどれくらい侵しているか、もともとのかたよりはどれほどか、などの見極めが効果的な治療に結びつくわけですが、これをどれだけ正確に弁えることができるようになるかが、鍼灸師の終わりなき課題だともいえますね。。

 

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