おなかを冷やすとおなかをこわすのはなぜ?
実は、はっきりした関係性は解明されていません。
そうはいっても、からだを冷やしたり、冷たいものを食べ過ぎると下痢になることは、多くの方が体験的に認識していると思います。
下痢は
- 腸の蠕動運動が盛んになり過ぎる
- 腸の水分吸収が妨げられる
- 消化液の分泌量が増える
といったことが複合的に起こると発生します。
からだを冷やすと腸にめぐる血液も冷えて、正常な消化活動が障害されると考えられます。
とはいえ、腸は皮膚や筋肉などの奥、からだの中心部にあるのに、エアコンの効いたところにサンダルでいたり、夜おなかを出して寝ただけでも下痢になることがあります。
また、緊張するとおなかが痛くなるなど、ストレスとの関係も緊密にありますね。
基本的に、下痢になったらその後の腸での水分吸収は望めないので出してしまった方がよいことが多いです。
ウイルス感染の場合は特に、ウイルス排出のために下痢を止めない方がよいと言われます。
その場合、脱水症状には気をつけなくてはいけませんが。
さて、東洋医学の考え方からすると、冷え→下痢は定番です。
冷えるとからだの中の水分量が増え、また陽が少なくなって活動が下がります。
働く力の衰えた腸が余った水分を抱えきれないので、下痢として出ていくということです。
消化関係の症状なので脾虚が基本的ですが、寒証であれば肝虚、肺虚、腎虚でも起こります。
肝虚の下痢は、血が不足して冷えることによって起こります。
生理になると下痢するのはこのタイプです。
肺は大腸と表裏関係にあるので、肺虚の影響が大腸に出るかたちで下痢になることがあります。
この場合は風邪をこじらせた(=陽明経まで熱が内攻した)場合、つまり熱証でも下痢になったりします。
腎虚になると引き締める力が弱まるので、そのために下痢になることがあります。
この場合腹痛を伴わないことがあります。
また、熱を排出するために下痢になる場合もあります。
お酒を飲んだ後とかですね。
この場合の下痢は、出した後スッキリします。
冷えからの下痢は、下痢することで陽も失われるので、排便後はぐったりします。
ストレスからの下痢もよくありますが、これも五臓いずれの虚も関係してきますので、証立てが大事になります。
下痢を治す、つまり脾の働きを回復するにはお灸が効果的です。
脾の親は心ですが、心の五行は火です。
脾を治療するのに、火を用いるのは五臓の関係上とても合理的なのです。
もちろん下痢は冷えからくるので、温めることが基本でもあります。
そのため、温めるというお灸そのものの力も脾によく働きます。
夏は暑いですが、からだを冷やしてしまう機会も多い季節です。
いちどおなかを壊すと調子のよくない状態が長引くこともありますので、自衛しつつうまく乗り切りたいですね!