鍼灸治療は不妊に効果がある?
現在、不妊治療を行っているご夫婦は多く、6組に1組は不妊に悩んでいるというデータもあるそうです。
不妊専門のクリニックは予約の取りづらいところもあり、混んでいて長時間待つのも珍しくないようです。
不妊に悩む方へ向けた書物や雑誌も多く出版されており、その一助として鍼灸治療が紹介されていることがよくあります。
ただでさえ鍼灸ってよくわからないのに、不妊に効果あるのかな…?と悩んでしまうというのはよくわかります。
鍼灸が、どういうことを目指して不妊のための治療を行っているのか、お話ししてみたいと思います。
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不妊における鍼灸治療とは
鍼灸治療とはそもそも、命を維持している体のシステム(五臓六腑)の偏りを整えることで、悩んでいる症状を治そうというアプローチの仕方をします。
例えば頭痛の場合、陰陽のバランスが乱れ、陽が通常より多くなっていたり、頭の方に偏っていたりすると痛みが発生すると考えます。
そこで、多くなった陽を取り除き、偏りを整えて陰陽のバランスを戻す、そうすると頭痛が治る、ということです。
不妊に対する考え方も同様で、バランスに偏りがあるから妊娠に至らない、と考えます。
なぜ偏りが発生するのか、そこをみていきます。
冷え
妊活中、冷えがよくない、と何度聞くことでしょう。
靴下をはいたり、冷たいものを飲まないようにしたり、なんらかの冷え対策をされている方は多いと思います。
どうして冷えがよくないかというと、冷えがあるとからだ本来の能力を十分発揮できないからです。
また、体で十分な熱量を作り出せない体質的な冷えもあります。(東洋医学では寒証といいます。)
鍼灸治療では、からだを温め、体質を少しずつ改善していって、冷えのないからだを作っていきます。
ストレス
不妊治療や、治療でなくても妊娠を望んでいるときは、期限のないチャレンジを続けているようなもので、とてもしんどいことです。
また、病院で受ける治療、長い待ち時間、先生からの話、まわりの声など、受け止めるのがつらいことはたくさん出てきます。
ストレスは、常に体が緊張している状態となり、内臓への血流が悪くなります。
子宮や卵巣は血液を多く必要とする臓器です。
豊かな血流量を保つためにも、ストレスはできるだけ抱えない方がよいのです。
不妊に限らず、体のどの部分でもそうですが。
鍼灸治療は、緊張が続いてほぐれにくくなっている体をやわらげ、リラックスした状態をもたらします。
手のひらやお灸の温かさも、こころとからだを癒します。
年齢による衰え
東洋医学では、女性の体は28歳がピークで、35歳から衰え始めるという考えがあります。(黄帝内経)
実際に妊娠率のグラフを見ると、20代後半から下降し始め、35歳くらいからその角度がきつくなります。
年齢による衰えは自然なことなのですが、鍼灸治療では、衰えという傾きをできるだけ緩やかにし、バックアップしようと考えます。
また、実際より卵巣年齢が高い、などと病院で告げられた方には、本来の状態に近づけるよう取り組みます。
鍼灸治療をやったからといって、すぐに卵の数が増えるとか、基礎体温が上がるとは限りません。
子宮や卵巣は、からだの中心にあります。
筋肉、ホルモン、血液、ほか様々なものが、その活動には必要です。
体全体のバランスが整うことが、遠回りなようで大切なことだと思います。
そのためのお手伝いとして、鍼灸治療を活用いただけたらうれしいです。