布団から足を出してしまう人は
台風が去ってから秋雨前線が上下しています。
下がって北からの空気が入ってくると、カラッと秋らしくなって過ごしやすいですね。
暑さが過ぎ去ろうとしているこの頃ですが、ほてりに悩まされているということはないでしょうか。
特に手のひら、足の裏が熱く感じることを、東洋医学では「五心煩熱」といいます。
五心とは、胸の心、両掌両足裏の5つを指しています。
体表面はからだを守る一番表の部分になりますが、手のひらと足の裏だけはからだの内側の状態が現れるとされています。
動物がよつんばいになると、手のひらと足の裏は陽があたりません。
陽(よう)が届かない場所、つまり陰の領域という訳です。
手のひらと足の裏が熱く感じるということは、陰に熱があることを示しています。
言い換えると、陽に対し陰が少なくなっていて、相対的に陽が旺盛になっている状態です。
これを陰が足りない(虚している)ので陰虚といいます。
陰虚についてはこれまでも何度か書いてきていますが、陽が盛んになるとそれを冷やすための陰が消耗されて不足するということです。
陽が盛んになるのは、活動するためや自分を守るためで、過労や寝不足、ストレス、お酒や辛いものなどの食べ過ぎ、怒りなどの感情の動きでもなります。
現代を生きる人間は、陰虚になりやすい条件がそろっていますね。
また、更年期などからだの中のバランスが崩れやすい時も陰虚になりやすいです。
陰虚の症状もいろいろありますが、それが手のひらと足の裏の熱感となって現れると五心煩熱となるのです。
煩熱とは煩(わずら)わしい熱ということで、なかなかうまい表現ではないかと思います。
実際体温を測っても平熱のことが多いです。
五心煩熱が現れる場合わりと陰虚が進んでいるので、他の陰虚の症状が出ていることが多いかと思います。
つまり
- 耳鳴り
- 頭痛
- イライラ
- 寝汗
- からだのだるさ
- 口渇(口の中の渇き)
などです。
解消するにはどうしたらよいのか、というと陽を過剰にさせないこと、そして陰を補うということになります。
とはいえ食事や仕事の仕方(残業が多いなど)、ストレスなどが積み重なってからだに表れるほどの陰虚が起こっており、そういった生活習慣を変えるのはなかなか難しいのかもしれません。
いきなり仕事を辞める訳にもいかないですしね。
できることの中では、まずは休むことが大事です。
休むことで陰が養われますので。
あとは漢方や鍼灸の助けを借りるとよいと思います。
鍼灸治療では、証に応じて選穴し、虚を補い、熱をさばくようにもっていくようにします。
働き方改革とか最近話は盛んですが、実際変えていくには勇気や時間が必要だったりするのかな。
自分のからだの求めていることはなにか、考えてあげてもよいかと思います。