逆流性食道炎を鍼灸で和らげる。
最近、逆流性食道炎に悩まされる方が増えているそうです。
逆流性食道炎とは、胃の入り口である噴門の締まりが悪くて胃酸が食道の方へ流出し、食道壁を荒らしてしまう病気です。
胃酸はph1~2の塩酸です。
塩酸はとても強い酸性の体液なので、食道が常にそれに触れる状況にあると、炎症を起こしてしまうのですが、カメラで確認しても炎症症状が見られない場合もあります。
なお、胃壁は胃粘液が分泌されていて保護膜を作っているので、胃が胃酸で荒らされることがないようになっています。
また、十二指腸には胃酸を中和するアルカリ性の消化液が分泌されているので、胃酸にまみれた食塊が送り込まれてきても中和され、腸壁を荒らすことはありません。
逆流性食道炎の症状
- げっぷ、呑酸があがってくる
- 胃もたれ
- 胸やけ、熱感
- 胸の痛み
- 喉の違和感
- 声がれ
などがあります。
逆流性食道炎の原因は、脂質の多い食生活だったりするほか、ストレスも関係していると言われていますが、明確なものはありません。
また、統計的な見地から考えられているのが、ピロリ菌の感染率が高いと逆流性食道炎になる率が低いことがわかっています。
近年日本ではピロリ菌の感染率が下がっていますが、そのために逆流性食道炎が増加しているのです。
他には前屈みの姿勢や肥満が一因になったりします。
逆流性食道炎の治療
現在のところ胃酸を逆流することそのものを止めることができません。
そのため薬による治療がとられます。
つまり胃酸を抑える薬を服用する治療が主になります。
薬を服用する治療では、噴門の緩みは治らないので、常に薬を飲み続ける必要があります。
東洋医学では、胃や食道など消化器の問題は脾の失調と考えます。
食べたものを下方(腸)に送る作用(和降)のちからが衰えてしまっていることと、胃熱があって胃酸などが過剰になっていることが原因と考えられます。
一義的には脾の失調だとしても、そのまた原因に肝虚があったりすることもあります。
肝虚による虚熱が胃に影響していると、やはり逆流性食道炎の症状を引き起こすのです。
これはストレスを受けたときなどの反応にみられます。
胃炎として現れたり、下痢のような腸の方に影響が出る場合もありますが、それが食道の方にみられたということになります。
治療としては、脾虚か肝虚か見極めた上でその虚を補うことが基本で、あとはお腹の反応をみながら経穴をみていきます。
胃腸症状は背中側に緊張が出ていることも多いので、背中の経穴を使って緩めるのことも大事です。
鍼灸治療で改善もみられますので、お悩みのかたはご相談いただければと思います。