はりってすぐ効くの?鍼灸治療に対する誤解について。
鍼灸治療について、最近はテレビなどのメディアで取り上げられることも増えてきたように思います。
それをみて鍼灸治療に興味をもっていただけるのはとても嬉しいのですが、一方で誤解を生じさせてしまう恐れも感じています。
いざ治療を受けてみたら想像と違った、ということも起こりそうな気がしていまして、そうなってしまうとやはり残念だし、お互いにマイナスです。
そこで、患者さんのお話などから誤解されがちなことについて説明してみたいと思います。
すぐ効く(即効性がある)
寝違えて動かすのもつらかった首が、一本の鍼で楽に回るようになった。
このようなことは実際あるので、完全に誤解ということではありません。
しかし鍼はすぐに効果が得られる場合と、時間が経って徐々に効いてくる場合とがあります。
寝違えやぎっくり腰のように、筋肉の動きが一時的に悪くなって起こるものは、すぐ効く場合が多いです。
トラブルを起こしている筋肉を和らげることで、動きがよくなります。
それでも、疲労やストレスがたまっている場合などは、それを改善しないとスッキリとよくならないこともあります。
痛み全般には割と即効性もありますが、五十肩や腱鞘炎など、原因が加齢などを伴っていたり、慢性的な血虚だったりするものは改善に時間を要します。
鍼は怖い・痛い
鍼という道具の性質上、ちくっと感じることはありますが注射のような痛みはありません。
まったく痛みを感じないことがほとんどです。
ただ、「怖い」という気持ちは理屈ではどうしようもないので、無理に鍼灸治療をしてもあまりよい結果につながらないように思います。
痛い→怖いとなった場合もそうですが、怖い気持ちでからだが身構えてしまう=治療を無意識に拒むというかたちが出来上がってしまうためです。
整形外科疾患の時に利用する
鍼治療は、肩こりや腰痛など、整形外科的な不調の時に試してみるもの、というイメージがあります。
もちろんこのような疾患にも鍼灸治療は効果を発揮しますが、からだの不調全般に対応しています。
更年期など様々な症状が一度に表れるような場合や、気持ちの落ち込みなどのメンタル面の改善、胃腸の不調、めまいや耳の不調など、治りにくいが重病でもないような症状の改善に役立ちますので、生活の質を保つのに役立てると思います。
血は出ない
たまに、針を刺すから血が出るのでしょう?と訊ねられることがありますが、鍼治療で出血することはまれです。
また、敢えて出血させる治療法は医師しかできないので、はり師は治療において出血させてはいけないことになっています。
ただ鍼を抜く際に毛細血管を傷つけてしまい、小さく内出血になることはごくたまにですがあります。
気功と同じ?
東洋医学のわかりにくさ、認知度の低さゆえからか、鍼灸治療を民間療法と思っている方もいます。
手からエネルギーだすとか。。。そういう治療者個人のパワー?を使っての治療は行っていません。
国家資格なので、勉強した内容に従って治療法を組み立てれば、治療をすることができます。
鍼灸は、誰でもできるメソッドがきちんと確立している治療です。
鍼灸治療といっても、理論になじみがないだけで、特別なことをしているわけではありません。
あまり身構えずに、こんな方法もあるんだなという気楽な気持ちで治療に来ていただければ嬉しく思います。