早起きが苦手はダメですか…?
ひところ流行った「朝活」。
朝早く起きて自分のための時間を使おう、ということで、特に出勤前に英会話やヨガなどの習い事を行うことがメディアなどで紹介されていました。
「早起きは三文の徳」ということわざは、早起きすると心身にメリットがあることを伝えています。
生活のリズムをつけるためにも、朝はいつまでも寝てないで早く起きて活動するのがよいということは間違っていないことです。
また良質な睡眠をとるためには、朝日を浴びて夜メラトニンというホルモンが分泌しやすいようにすることが大事だといういうことが、わかってきています。
でも、睡眠時間は十分でも、どうしても早起きが苦手だったり、朝元気が出ない人もいます。
人によっては、無理に早起きしても一日中調子が悪かったりすることもあります。
どのような人が早起きが難しいのでしょうか?
疲れが溜まっている
これは言わずもがなです。一晩寝たくらいでは疲れが取れないので、からだはまだ休んでいたい訳ですから、早く起きることができなくて当然ですね。
逆に疲れが溜まっていることに気が付いていない、普段頑張りすぎてしまう人にとっては、朝起きられないことがひとつのアラートになります。
最近朝ダメだ、と思ったらからだを休めることを考えてみる必要があります。
からだが冷えている
布団が薄くて寒かった、という訳ではなく、体質的あるいは病的にからだが冷えている寒証(陽虚証)の人は、朝起きるのが苦手です。
この場合は朝が苦手なだけでなく、日中もうとうとしてしまう傾向にあります。
それは、からだを動かすもとである陽が不足しているためで、十分に活動するためのエネルギーが足りていないからです。
病み上がりや過度のストレスが続いた時など、虚証が進んだときも寒証になりますので、注意が必要です。
寒証を改善していくのには時間がかかりますので、十分な休息をふくめ、生活を見直すことが大事です。
肝虚タイプの体質
肝虚タイプとは、肝虚証として病症は出ていないが、体質として肝の性質の影響が出やすい人をいいます。
肝虚タイプの人は、肝の仕事である「血」に関することが不安定になりやすいです。
頑張りすぎる性質上、血が足りなくなる傾向(血虚)にあります。
人のからだは、夜間は血を肝に戻します。
生理学的にも就寝時は肝臓に血液が集まり、吸収した栄養素をからだに必要なものに加工する作業を行っています。
それが朝目が覚めると肝から手足に血を送るわけなのですが、血虚になっていると十分にいきわたるのに時間がかかってしまいます。
目を覚ますには目にも血が巡っていないといけないのですが、この場合、それが不足するのでなかなか目が覚めません。
目が覚めても手足に血が十分巡ってないので、起きだすのにも時間がかかります。
また、筋肉も血をたくさん必要とするところなので、血虚の場合、こむらがえり(早朝のふくらはぎの痙攣)や腰痛になりやすいです。
この場合の腰痛は、朝起きた時に痛みますが、動き出すとおさまり、日中はあまり痛みを感じないことが多いです。
これが腰痛となって悩まされるようになると、肝虚タイプではなく肝虚証として治療することが必要になってきます。
またこのタイプの方は、エンジンがかかるのがゆっくりなので、夜にかけて元気になる傾向があります。
そのため、早く寝ようとしてもなかなか寝付けないし、せっかく元気になったので夜にいろいろやりたくなり、寝るのが遅くなりがちです。
朝の時間を活用したり、朝からからだを動かしたりするのはよいことですが、からだのコンディションや体質的に難しい人もいます。
そういう場合は無理せずに、自分の状態や体質に合わせて毎日を充実させるよう工夫する方が、からだへの負担は少ないと思います。
自分のからだの状況を把握することが、健康への第一歩なのかもしれません。