事故に遭ったら、ケガが治っても注意してください。
バドミントンの桃田選手がタイで交通事故に遭ったというニュースはショッキングでした。
幸い、鼻を骨折するなどのケガはありましたが、飛行機を降りた後ゲートから歩いてきた映像から、重症ではなかったことに他人ながら安堵しました。
ただ交通事故の経験がある方などから、これから後遺症が出ないか心配という声も聞こえます。
実際、交通事故の場合、ケガをした部位はそこがどこかに直接ぶつかったためで、問題はそこだけでなくからだ全体が衝撃を受けているということにあります。
ケガしたところが治ればそれでOKという訳ではありません。
東洋医学では交通事故などに遭った時の状態をどのように考えるでしょうか。
まず、ぶつかった衝撃でからだの表面を流れ守っている陽気がとんでしまいます。
そのために呆然としたり、動けなくなったりします。
その後、ぶつかったところにあざやこぶ、腫れなどの直接的、部分的な瘀血が形成されます。
全身に受けた衝撃は、からだ全体の血の流れを悪くさせ、滞った血は脇下に集まって瘀血となります。
この瘀血は部分的なものではなくて、病理的な肝実瘀血証となります。
治療としては、まず陽気を補ってあげます。
事故のショックで受けた衝撃をやわらげて、気力を取り戻します。
不安定になっていた気持ちも、落ち着かせることができます。
ぶつけたところのあざや腫れも、瘀血を鍼やお灸で散らすことにより、引きが早くなりますので、痛みの回復も早まります。
アイシングと根本的な作用は同じように思います。
その後のからだのケアが大事になってきます。
ケガや腫れが治っても、瘀血が残っていると、いつまでもひかない痛みが残ったり、寒さや湿気で痛みが出たりするようなことが起こります。
これは瘀血証として、体質改善に近い治療をしていく必要があります。
事故のあとから始めればそんなに時間はかからないと思いますが、何年か前に事故に遭ってからずっと調子が悪い、といったような場合は、すぐによくなるというよりは、少しずつ調子を取り戻していくという経過をたどります。
交通事故は大きなできごとですが、瘀血ができるようなケガは、案外日常的に起こっています。
- 自転車で転んだ
- 段差で足をひねった
- 人とすれ違う時肩がぶつかった
- ボールが当たった
- 階段を踏み外した
などですね。
ぶつけたところの痛みに気持ちがフォーカスされてしまいがちですし、そこが治れば完治したように思います。
しかし、瘀血が残ってしまう場合もあるので、経過観察はよくしていたほうがよいと思います。
また、昨今で心配なのはDVとか虐待ですね。。
殴られてケガとして残らなくても、継続的な暴力は間違いなく瘀血を形成していると思うのです。
肝実瘀血証になると、気持ちが発散できなくなるので我慢してしまう傾向にあります。
被害者本人から被害を発信できなくなるのは、証からも見えることなのです。
ほんとにDVと虐待を憎んでいるのですが、なかなか鍼灸治療と結びつかないところがもどかしいですね。
話がそれましたが、ぶつかる系の事故に遭った場合は、ケガだけじゃなくからだ全体のケアも気にかけれいただければと思います。