花粉症はなぜ起こる
花粉症は、スギやヒノキの花粉を異物として感知して免疫抗体が作られてしまい、それを排出しようとする生体反応が過剰に表れた疾患です。
なぜ起こるかというと、そういうことなんですが、ではなぜ花粉に対して抗体ができてしまうのかはよくわかっていません。
これはアレルギー全般にも言えることで、そのためにアレルギー性の疾患には対処療法がとられることがほとんどです。
花粉症においては、ワクチン接種と同様の考え方で、経口免疫療法というものが最近取られ始めています。
これは少しずつアレルゲンを取り込むことでからだを慣れさせ、毒じゃないんだよとわからせるような治療なのですが、数年かかることもあり、簡単ではないようです。
こういう時こそ東洋医学の出番ですと言いたいところですが、鍼灸治療としても、体質などに関わってくることもあり、なかなか簡単ではありません。
東洋医学では、花粉症のような症状は陽明経に熱が停滞して起こると考えます。
陽明経とは、三陽経といって、6つある陽の経絡を3段階に分けた内の真ん中のレベルのものです。
三陽経はからだの表面から太陽経→陽明経→少陽経という順で深い位置を流れるとされています。
手の太陽経=小腸経
足の太陽経=膀胱経
手の陽明経=大腸経
足の陽明経=胃経
手の少陽経=三焦経
足の少陽経=胆経
という感じ。
陽明経にあたる大腸経も胃経も、目や鼻、のどに通じているので、そこで発散されない熱がこもることで水も停滞し、鼻水やくしゃみ症状が現れるわけです。
なぜ発散させることができないのかというと、五臓の虚、この場合肺虚や脾虚があるからなんですね。
脾が虚して気血を巡らせる力が鈍っていると、熱や水が経絡に停滞してしまうのです。
本来であれば、春になって季節に応じて自然界の陽気が盛んになってくるのに合わせ、ひとのからだも陽気が盛んになっていきます。
気候は行ったり来たりするので思い切り動き回るにはまだ早いですが、冬と違って行動し始める時期です。
こちらの記事でもちょっと触れました。↓
ですが、体質的に脾が弱かったり、冬にきちんと養生していないと十分に陽気が発生できなくて、春の気に追い付かないという状況になります。
ここで、前の季節の養生が大事になってくるわけです。
冬に汗をかくほど温まり、陽気をいたずらに損傷していると、春につまずいてしまうことになるんですね。
警告しました。↓
もちろん、疲れが溜まったりして脾が虚してしまっても花粉症の症状が出やすくなります。
花粉症というほどでもないけど、疲れてたり、朝や夜に鼻水やくしゃみが出ることがある、という場合はそれにあたるかと思います。
そのため、花粉症の治療は、一義的には鼻水などを抑える経穴を使ってそれを止めつつ、五臓の虚も補わないとうまくいかないということになります。
肺虚は表面から侵されて虚すことが多い(風邪など)ですが、脾虚はからだの一番深いところにあるので、からだ全体の改善が必要になってきます。
つまり、食事や睡眠をはじめとした休養などをしっかりさせた上で治療を進めることが大事になります。
そういう訳で、すぐには治りませんが治らないわけではないというのが、東洋医学的にみた花粉症かなと思います。
ひどい花粉症に悩んでいる方は、生活習慣などを見直してみてはいかがでしょうか?
遠回りのようで改善につながるかもしれません。