女性のための鍼灸院 すばるのブログ

横浜市港北区大倉山。静かな町の片隅にある鍼灸院です。鍼灸を通して、妊活、美容鍼、更年期などの女性のお悩みに取り組んでいます。

肝実という概念

 これまでも、からだの基本的なシステムに五臓というものがあり、それのいずれかの働きが悪くなると病気になると説明してきました。

働きが悪くなって十分機能しなくなることを、虚すといいまして、肝が虚すと肝虚証とう病理状態をあらわします。

陰陽の考え方からすると、虚があればその反対の実もあるはずです。

では肝実証、脾実証、腎実証などがあるかというと、肝実証しかありません。

虚が欠けだとすると、実は余りです。

余分なかたまり、という感じでしょうか。

肝は血の流れ(疏泄)を支配しているので、血が停滞し、そこに熱が加わるなどして肝経に実ができることがあります。

血が停滞してできたものは瘀血とよばれます。

瘀血についてはこの記事をご参照ください↓ 

subaruhari9.hatenablog.com

 瘀血がある証は、肝実証となります。

 

心は常に血を流しているところなので、心に血が停滞することはないと考えます。

心が虚すと死を意味するので心虚証がないのと同様、心実証もありません。

 

脾は気血津液を産生するところであり、また陰中の至陰といってからだの中心の奥にあるので、からだで発生した熱は他の経絡や腑に影響しても脾までは至らないと考えられています。

また、脾はその表裏関係にある胃が熱を受けるので、脾まで熱がいかないとも言えます。

産生した血が滞ることがあるとすれば、それは脾の機能が衰えているためで、脾虚になっていると考えます。

 

肺は他の臓腑や経絡から熱を受けることはありますが、支配しているのが気なので、気は実体がないので実にはならないと考えます。

気の滞りという考え方はありますが、実とは言いません。

 

腎は主に津液を支配していますが、津液が実しても冷えるばかりですし、熱を受ければ津液が蒸発していくので実にはならないと考えます。

 

ややこしい感じがしますけど、実になりうるのは気血津液のうち血で、血を支配している肝は実になりやすい、ということです。

 

中医学では脾実や腎実も考え方としてありとしています。

心虚証もあります。

同じ東洋医学でもその病をどう見るか?には違いがあるんですね。

どちらもこれまで残っている膨大な古典を読み解いた上での理論であり、東洋医学も様々な視点から何度も検証されてきていることを考えると、違いがあっても不思議なことではありません。

理論が構築されていてそれが治療につながっていれば、考え方や見方に違いがあっても間違いではないと思います。

 

肝実は体質として残りやすいので、治療で少しずつ取り除いていくのがよいかなと思います。

 

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