女性のための鍼灸院 すばるのブログ

横浜市港北区大倉山。静かな町の片隅にある鍼灸院です。鍼灸を通して、妊活、美容鍼、更年期などの女性のお悩みに取り組んでいます。

病の深さを風邪から考えてみる

昨日、三陽経はそれぞれ深さが異なるということについて触れました。

今日はちょっとそれを掘り下げてみたいと思います。

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ひとのからだを考えた場合、東洋医学では、

体表面→経絡→腑→臓 という順番で深い位置にあると考えています。

三陽経の話はこの経絡の部分をさらに分けたものということになります。

経絡は陰経もあるので、全部で三陰三陽に分かれます。

三陽=太陽経、陽明経、少陽経

三陰=太陰経、少陰経、厥陰経

となりまして、この辺はなんか難しいのでこれ以上は説明しませんが、病の深さで現れる病症が変わります。

 

一番わかりやすいのが風邪なので、それで説明すると、

まず冷え(寒)を受けると、体表面を守っている気(衛気)の流れが乱れて寒が中に侵入してきます。

 

一番外側にある太陽経を流れる気も寒を受けて、熱が集まるところと、他に熱が行ってしまって冷える部分とができます。

この時点で寒の侵入を防ぐために、からだの窓である腠理(そうり)を閉じ、からだを守ろうとします。

そのためこの時は汗は出ていません。

まだ悪寒や肩こりなどを感じる程度です。

この時点で肺虚を補い、太陽経から熱を取り除く経穴を使って軽く発汗させるような治療すると、風邪を引かずに済みます。

 

そこでそのままにしていると、次のレベルの陽明経にも熱の停滞が起こります。

腠理が閉じているので、停滞した熱が発散されずに発熱し始めます。

陽明経は鼻やのどに関係しているので、鼻水が出たり喉が腫れたりすることもあります。

この段階で発汗を促し、停滞した熱を発散してやると治ります。

 

それをそのままにしていると、今度は少陽経に熱が内攻してきます。

少陽経はもう腑に近いので、ここまでくると腑である胃腸にも症状が出るようになります。

汗をかくようになりますが、簡単には熱が下がらなくなります。

この段階では肺虚から脾虚になってしまっていて、脾を補わないとよくなりません。

 

この熱を臓である肺が受けると肺炎などになります。

肺炎は時に命の危険も伴う重い症状です。

 

このように、病がからだの深いところに侵攻すればするだけ重症度が増していくのがわかるかと思います。

このことは城郭の構造を考えてみると想像しやすいかと思います。

お城はまずお堀に取り囲まれているので、何もしなくても簡単には敵が侵入しないようになっています。

これは体表面を衛気が常にめぐっているようなものです。

ついで城壁がぐるりと城郭を囲んでいます。

城壁には攻撃を仕掛ける仕組みがたくさん設けられています。

城主が住む本丸は城の一番奥にあり、たいがいの敵はそこに至るまでに潰されてしまうようにできています。

しかし敵が中に侵入してくるほど、兵力は必要なりまたダメージも大きくなります。

 

普通は風邪から肺炎になることはまずありませんが、発熱しているのに寒い環境にずっといたり、子供や高齢などで基礎体力がない人は危ない場合もあります。

 

また、からだの内側から病気になると、影響の仕方や方向も複雑になります。

どこの経絡、どこの腑または臓に何が起こっているのかを見極めるのが、治療で一番大事になってきます。

とはいえ、あまりに重病な患者さんは鍼灸院には来ませんし、来たとしてもまずは病院に行って適切な治療を受ける方が当然よいですが。

 

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