風邪の治療はひき始めの見極めが肝心!
急に気温が下がったり、雨が降ったりやんだりした天気が続いたせいか、風邪をひく方が増えているようです。
風邪はとても身近でありながら、いまだに治療法がない病気です。
風邪薬は市販されたり処方で出されたりしますが、箱をよく見ると「風邪の諸症状の緩和」と書いてあるはずです。根治する訳ではないんですね。
風邪をひくと喉が腫れて痛んだり、咳や鼻水が止まらなくなったりしますが、これらはウイルスを消滅させるために免疫機能が働いたり、ウイルスを排出するよう体が反応した結果起こること。
これらの症状はとてもつらいので、早く治したいからと薬を飲みたくなりますが、ここで無理に抑え込むのはNGです。もう遅いのです。ウイルスとの戦いは始まってしまっています。
武器を増強し、戦いの場に手を出さないで任せる、つまり栄養を取ってからだを休めるのが、治すのに一番よい方法です。
お仕事などでそうも言ってられない、という場合も多いのが辛いところです。そういう時はとりあえず一時しのぎと自覚して薬を使うようにするのがよいと思います。
ただし咳がひどくなると体力を消耗するので、そういう場合に咳止め薬で咳を抑え回復を待つのは有効かと思います。
風邪にかかってしまったら、上述のとおり諦めるしかありませんが、ひどくなるのを回避することは可能です。
東洋医学では、風邪は体の表面から徐々に侵攻してくると考えます。
(肺が虚して太陽経→陽明経→少陽経と入ってくる。)
今どの段階まで攻めてこられているかを見極めて、それにあった対処法をとれば、本丸が攻め込まれる前に撃退できますし、こじらせることを予防できます。
悪寒(寒気)
ちょっと今日寒いからかな、と悪寒を見逃しがちですが、悪寒は風邪の一番初めに現れる症状です。
くしゃみが出るというのも、サインのひとつです。
この段階では、パッと汗をかいた後に睡眠をとるなどしてからだを休めれば大丈夫です。
汗をかくには、葛根湯を飲んだり、熱めのお風呂にさっと入ったり、生姜の入った食べ物を取ったりするのがよく、サウナなどで大量発汗させる必要はないです。
かいた汗でからだを冷やさないように気を付けるのが大事です。
発熱
悪寒の次に発熱する場合があります。
体力のある方は上記のとおり発汗することで熱が治まることも多いですが、体力があまりない方は熱があるのに発汗させようとすると、体力を消耗して逆に風邪をもっと侵入させてしまいます。温かくして休むのがよいです。
喉、鼻の症状
のどやはなに症状が出ると、風邪がもう一段階侵攻してきたことを意味します。
こうなると発汗だけで追い出すことは少し難しくなります。
ちょっと喉が腫れっぽいなとか、なんだか鼻水出てくるな、という時は軽く考えずもう第二段階に入ったと自覚して、無理はしないようにします。
まだ胃腸がしっかりしている段階ですので、消化の良い栄養のあるものを摂って、しっかりからだを温め、休めることが大事になります。
鍼灸治療で発汗にかわる対処をとると同時にのどはなの症状を取り除くようにすると、軽く済んで治る場合もあります。
からだがだるい
風邪は急性上気道炎を意味し、胃腸症状は本来風邪ではないんですが、風邪の症状がひどくなると、からだがだるくなったり、胃腸の調子が悪くなったりします。
これは寒が内攻してきたことを意味します。
(肺だけでなく脾も虚した状態。)
関節が痛くなることもありますが、これも風邪がだいぶからだの中に入ってきてしまった状態です。
こうなってしまったら、しばらく休むしかないと思います。
だるいというのは痛みと同様、からだからのアラートであり、無視できるものではありません。
上記の流れの他、もともと冷えのある人は、熱は出ないが悪寒やのどの痛みだけ出ることがあります。
この場合は発汗させるより温かくして栄養を取ることを優先した方がよいです。
また、風邪は治ったのに咳だけ残る場合もあります。
風邪の熱が残っているためで、鍼灸を少し続けると、その熱がさばけて楽になります。
このように、風邪への対処はその侵攻程度で変わってきます。
うまく対処できれば風邪をひきかけた自覚もなく治せますが、風邪は風の邪というくらいで侵攻が早いです。
うまく捕まえるのがなかなか難しくもあります。
そのため、初期段階で対処するのと同じくらい大事なのが予防です。風邪の予防についてはまた次回まとめたいと思います。