更年期の肩の痛みは五十肩でよいのか?
更年期になると、ホットフラッシュだけでなく、様々な不調が現れやすくなることについては以前も触れました。
その中でも、五十肩は起こりやすい疾患かと思います。
更年期になぜ肩が痛くなるかというと、女性ホルモンであるエストロゲンが減少することで、関節の動きが悪くなるためと考えられています。
ただ五十肩の原因というのはすべて解明されている訳ではないので、女性ホルモン減少はその一因になりうるということです。
五十肩は、肩関節周囲炎といいまして、肩関節を包むクッションの働きをする関節包が委縮し、炎症を起こすことで起こります。
加齢により筋肉や腱のしなやかさも減少することもそれを助長しますので、それらが集まっている肩は痛みを発生しやすい部位だといえます。
五十肩の特徴は
- 関節の動きが悪くなることで起こる
- 腕が上がらない(可動域制限)
- 腕を上げようとすると痛む(動作痛)
- 夜寝ていても痛む(夜間痛・特に急性期)
- 急性期、慢性期、回復期があり、1年前後で治るが、再発や反対側に表れることも多い
などです。
動きとしては特に、結髪・結帯動作が難しくなります。
つまり、髪を結わえようとしたり、帯(や、エプロンなど)を結ぼうとする動作がしづらくなります。
腕をからだにつけてから挙げていくと、90度くらいで痛くて挙がらなくなります。
また、回復まで1年前後と言われていますが、痛みが長引いたりぶり返すこともあります。
そのまま関節が固まって、痛みが取れても動きの悪さが残る場合もあります。
とはいえ、年齢的に肩が痛くなったら五十肩だな、という自己判断はよくないです。
他にも肩の疾患があるからで、五十肩だろうと放っておくと治療が遅れたりしてしまいます。
整形外科に行けばわかりますが、判別ポイントをまとめてみたいと思います。
肩関節炎
これは捻挫みたいなもので、おかしな動きをしてから激しい痛みが出ることが多いです。
腫れと熱感、激痛があります。
五十肩のように、ここから先は動かないというような感じはあまりないです。
筋肉か腱を傷めたもので、炎症が激しい時は冷やし、その後は安静にして、動かせるようになったら少しずつ動かすようにします。
今までなら大丈夫だった動きでも肩関節炎になることがあり、また原因発生時からしばらくたって痛み出すこともあるので、五十肩がきたかな?と思ってしまう場合があります。
石灰沈着性腱板炎
腱板(肩を取り囲むいくつもの腱のあつまり)にリン酸カルシウム結晶が沈着し、それが徐々に固く大きくなっていくにつれ痛みを生じるものです。
それが滑液包に破れ出ると激痛を生じます。
夜間に激しい痛みがあり、痛みのために運動障害が出ます。
治療は保存療法(外科的措置をしない)が多いですが、注射で吸引したり、手術で取り除く方法がとられることもあます。
そうすることで痛みの原因がなくなり、回復に向かいます。
腱板断裂
五十肩と間違いやすい疾患です。
腱板が加齢により硬くなり、多くは部分的に切れてしまうものです。
腱の損傷なので、夜間など安静時にも痛みが出ます。
五十肩との違いは、痛いけど腕は挙げられることです。
関節自体は問題ないからです。