口が苦いこと、ありませんか?
先日は、春の山菜について書きました。
春の山菜はかすかな苦味が特徴的ですが、それも楽しみのひとつですね。
ですが、そのようなものを食べていなくても、口の中に苦みを感じて悩んでいるという方もいます。
西洋医学的にみると、苦みを感じるのは味覚障害のひとつとして考えられているようです。
その原因として
- ダイエットなどによる亜鉛不足
- 加齢などによる口腔内の乾燥
- 味覚そのものの低下
- 特定の薬の服用
などが挙げられます。
亜鉛は味覚に関係するので、亜鉛不足は味覚そのものの低下にも関係しているようです。
感覚異常の一種であり、直接それを治す薬などはなく、亜鉛のサプリを摂ったり、生活習慣を見直したりなどの対策が取られているのが現状です。
さて、東洋医学では口に苦みを感じるという症状は、古くから認識されていました。
肝、胆そして心に変動がある時に出やすいとされています。
傷寒論にも「少陽の病は口苦、咽乾、目眩なり」と記載があるほか、様々な古典に登場します。
なお少陽とは少陽胆経のことで、胆の変動による症状のことを言っています。
肝が虚して余計な熱が発生すると、それが表裏関係にある胆に影響を与えます。
胆は胆汁という油脂を消化するための消化液を分泌しますが、胆汁はとても苦い味がします。
そのため、胆は苦みと関係があります。
目眩とはめまいのことで、胆経は側頭部や目じりをめぐっているため、胆経に変動があるとめまいという症状が現れやすくなります。
口が苦いと感じるとき、同時にめまいが現れることもあるということです。
胆の変動には、もともとには肝の虚がありますので、口が苦い時は、証で言えば肝虚証であることが多いです。
肝虚証については何度も出てきていますが、からだで血の不足が起こっています。
血の不足は
- 過労
- ストレス
- 妊娠、出産、生理の出血過多
- 加齢(更年期)
- 目の疲労
- ダイエット
などで起こりやすく、実際このような状態にある方で、口の苦みを感じることがあります。
また、五味で言えば苦味は心に関係します。
経絡治療では心虚は治療上考えない(心が虚す=死と考えるため)のですが、心は熱のある臓ですので、熱が過多になっていると苦味を感じると考えることができます。
口が苦いと感じた時は、何か病気かも!?と焦る前に、からだからのサインと考えてちょっと生活を振り返ってみるとよいかもしれません。