疲れが取れない、という病気がある
先日、慢性疲労症候群の方やその家族の方が体験を語り合う会が開かれたとのニュースがありました。
慢性疲労症候群とは、検査で異常がないのに激しい疲労感に襲われ、日常生活もままならなくなる病気です。
疲労感は仕事や運動など、からだを酷使した後に感じるからだを動かすのがしんどい感覚をいいますが、慢性疲労症候群はそういった疲労感をもたらす原因がないのに発生するところが通常の疲労感とは違います。
仕事や通学にも支障が出る場合もありますが、周囲の理解が不足しているために「怠けている」などと誤解をされやすい病気でもあります。
実際疲労していないのだから、別な名称があってもいいような気がします。
病気として認知されたのは比較的新しく、病名が付いたのは1988年とのこと。
原因は今のところ確定したものがなく、研究途上の段階です。
これとイコールと考えるのは早計かもしれませんが、鍼灸の古典である「素問」「霊枢」には、解えき(にんべんに亦)、体惰という病名で記載があり、古くから病気として認識されていたようです。
東洋医学的にこの病気について考えると、脾虚か腎虚の寒証になります。
手足を動かすのがつらい、だるいのは四肢を支配する脾が虚している特徴であり、身重も脾が関係しています。また、脾が虚すと腎も虚すという関係性があるので、腎虚に発展する場合も考えられるというわけです。
疲労感をもたらす原因として
①夏の暑さ
②夏の湿気
③出血(けが、出産、月経など)
④心労、驚いたり怖い目に遭ったりすること(精神的ストレス)
⑤慢性疾患、加齢、過房
⑥労倦(仕事のし過ぎ)、先天的な虚弱体質、偏った食生活
が挙げられます。
それがからだにどのように影響するかというと
①は気と津液を消耗する
②と⑥は痰湿といって余分な水分をからだに停滞させてしまう
③と④は気と血を消耗する
⑤は腎精が失われる
このように、慢性疲労症候群と病名がつくほどでなくても、なかなか疲れが取れない、という症状が続いている場合、鍼灸も治療の選択の一つになりえます。
慢性的な症状は治療も長くなることが多いですが、少しずつよくなっていけば気持ちも前向きになります。