女性のための鍼灸院 すばるのブログ

横浜市港北区大倉山。静かな町の片隅にある鍼灸院です。鍼灸を通して、妊活、美容鍼、更年期などの女性のお悩みに取り組んでいます。

涙はどうして汚く感じないのか?

悲しかったり、うれしかったりすると零れ落ちるのが涙です。

感動したり、ショックを受けたりした時も、流れることがありますね。

涙はからだから分泌される体液の一つです。

そういうものは他にもありますが、涙に限ってはあまり不潔な感じがしませんね。

 

からだから外に分泌されたり、排出されたものに対して、通常人は「汚い」と感じます。

頭の方からみていくと、

  • 鼻水
  • 唾液
  • 尿
  • 大便
  • 経血

など、列挙するとうげぇ…と思ってしまいますね。

このほかにも、からだからいったん離れたものは汚く感じます。

例えば、髪の毛、フケ、垢、爪、かさぶたなどでしょうか。

不快なにおいをともなうものもありますが、いずれもついさっきまでからだの中にあったり、からだの一部だったものなのです。

いわば分身と言ってもいい存在なのに、愛おしさはみじんも感じません。

髪の毛など、それ自体は細菌の塊という訳でもないのに、食事に入っていたら即クレームです。

この感覚はどこからくるのでしょうか。

 

人のからだは、常に気がめぐっていることにより活動ができています。

気がめぐっていることで五臓が働き、気血津液がからだを養い、体温を保ったり、外からの邪から守ったりしているのですね。

気はどこをめぐっているのかというと、五臓六腑の各経絡を順番にめぐっています。

各経絡はからだの手足や顔、腹や背中などをそれぞれめぐっていて、鍼灸治療に使っている経穴(ツボ)もこれらの経絡上にあります。

肺経→大腸経→胃経→脾経→心経→小腸経→膀胱経→腎経→心包経→三焦経→胆経→肝経→肺経に戻る

こんな感じで、エンドレスでぐるぐる回っていると考えています。

臓腑の陰陽は、臓が陰で腑が陽なので、臓の経絡は、陰経、腑の経絡は陽経と分けられます。

陰の経絡は足先からからだに向かって上昇し、陽の経絡はからだから足先に向かって下降して流れています。

これは自然と逆向きなのです。

温かいものは上昇し、冷たいものは下降する。

これが自然の物理的な現象です。

それなのに経絡は、陰の方が上昇し、陽が下降しているのです。

自然と反対の流れで回り続けることにより、外の世界とは区別された、一人の生きたからだとして存在できるんですね。

例えば、お風呂のお湯は、温めて循環させていれば湯船のどこでも適温を保ちますが、スイッチを切って放っておくと、翌日には上の方にぬるい水が、下の方に冷たい水が溜まっています。

このように自然と反対の動きをすることで、からだは保たれています。

それが、いったん外に出てしまうと、それにはもう気が通っていません。

気が枯れた状態、気(け)が枯れた=けがれ、なのです。

けがれたものは生命維持に関係ないものなので、からだにとっては不用で、かかわる必要のないもの。

そのために、不快な感情がわいて、自身から離しておこうとすると、考えられます。

遺体も、すでに気が通っていないので、魂(気は陽)は空へ上り、肉体(物質は陰)は土にかえります。

気が通っていないものは、すぐさま自然の物理現象に取り込まれていくのです。

ですが、親しかった人のからだをけがれたものと見ることはできません。

気持ちがまだ通っているんですよね。

涙も、さまざまな感情が乗っかっているから、汚いと思わないのだと思います。

とは言ってもあかの他人の涙はやっぱり触るのは嫌だし、、この感覚は案外と不思議なものですね。

 

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