不妊のもうひとつの原因、血の滞りとは?
不妊の原因として東洋医学ではまず冷えがあることと考えますが、血の滞りがあることもよくないとしています。
血の滞りとは瘀血(おけつ)と呼ばれ、古い血が部分的に停滞したもので、血の性質もどろどろした流れにくい状態になっていると考えます。
そのため、一部では停滞して熱を帯びたり、それが古くなって固くなったりする一方で血が流れにくくなっているところは冷えます。
子宮は血をたくさん必要とするところですから、血が流れにくくなっていると冷えやすくなり、それが不妊につながるのです。
とはいえ、物質として取り出せるものではなく、概念的なものをとらえやすいイメージで説明したものと考えた方がわかりやすいかもしれません。
瘀血(おけつ)とはどういったものか、説明してみたいと思います。
瘀血(おけつ)の原因
体質
瘀血(おけつ)のできやすい体質があります。
女性は生理があり、血に関する問題を抱えていることが多いです。
血が足りないこともあり、血が滞りやすいこともあります。
熱病を繰り返す
かつてマラリアなどの感染症で、高い熱を何度も出すような病気がありました。
熱により血の粘度が増すイメージですが、熱で瘀血(おけつ)ができることがあります。
打撲、捻挫、交通事故
あざをイメージすると分かりやすいですが、からだをなにかにぶつけたところには血の滞りができやすいです。
あざが消え、一見治ったようにみえても痛みだけ残ったりするときは、瘀血(おけつ)
が潜んでいると考えて治療します。
また、患部だけでなく、打撲でできた内出血が脇下(肋骨下)に溜まり、瘀血(おけつ)になると考えられています。
内臓疾患
胃潰瘍などで内臓に出血や鬱血があったときに、それが瘀血(おけつ)の原因になることがあります。
内臓が傷つくということ自体血の流れが悪くなることにつながりますので、流産、中絶、出産などや手術でも、瘀血(おけつ)ができやすくなります。
怒りをがまん
精神的なことが原因でも血の流れが悪くなります。
落ち込んだりして気持ちが塞がると気の巡りが悪くなりますが、血をコントロールする肝と同じカテゴリーの五情である「怒」を押し込めていると、瘀血(おけつ)の原因になってしまいます。
瘀血(おけつ)の特徴
下腹部に硬さがある
瘀血(おけつ)は血の停滞している状態なので、内臓を固くします。特に下腹部にできやすいので、触れると他より固い感じがします。
他にも、脇下や仙骨部にもできやすいと考えられています。
あざができやすい
瘀血(おけつ)があると血が停滞するので、血が固まりやすくなると考えます。そのため、知らないうちにあざがよくできているとか、すこしぶつけただけであざができることがあります。
しみ、そばかかす、にきびができやすい
あざができやすいのと同様に、皮膚においての血の流れの悪さが、しみなどを形成しやすくなります。
気うつの傾向がある
からだの中に停滞しているものがある訳ですから、気の巡りも悪くなります。
そのため、気分的にも落ち込みやすくなります。
手足が冷える
血が停滞するので、からだの末端である手足への血流が悪くなって冷えやすくなります。
からだそのものが冷えている寒証ではありませんが、手足が冷たいので冷え性だと思っていることも多いです。
便秘傾向
寒証の人は下痢気味になりますが、瘀血(おけつ)があると便秘がちになります。
冷えて便秘になることも女性の場合は少なくないので区別が難しいですが、苦しい感じの便秘になることが多いです。
生理は遅れ気味で生理痛あり
血が停滞していて子宮に集まりにくいので、生理は遅れがちになります。
経血は塊(かたま)り状になります。
子宮筋腫などができやすい
血が停滞しやすいので、それが筋腫となってしまうことがあります。
瘀血(おけつ) の原因と特徴をみていくと、どういったものかだんだんイメージできたのではないでしょうか?
瘀血(おけつ)の対策などについては、また後日説明してみたいと思います。