女性のための鍼灸院 すばるのブログ

横浜市港北区大倉山。静かな町の片隅にある鍼灸院です。鍼灸を通して、妊活、美容鍼、更年期などの女性のお悩みに取り組んでいます。

お灸で腫れを取る

鍼灸治療はその名の通り、はりとお灸を用いて治療を行うものです。

では、はりとお灸をどのように使い分けているのでしょうか。

はりは金属(冷たい)でお灸は火(温かい)なので、性質は正反対です。

陰陽の関係といってもいいかもしれません。

そもそもはりは南から、お灸は北から来ているのでルーツが正反対なんです。

 

subaruhari9.hatenablog.com

 

なので、もともとは、はりは実を取り除く治療、お灸は虚を補う治療が得意でした。

医療技術が進歩していく中、はりも手技や鍼の種類などを使い分けることにより、虚実両方を治療できるようになっていきました。

陰陽の理屈で言えば、はりにも陰陽があるということです。

今ははりで五臓の虚を補うことができるようになっています。

そのため、はり中心で治療を組み立てる鍼灸院もあります。

 

では、お灸は虚実両方には使えないのでしょうか?

実はお灸はも虚実どちらの治療にも使うことができます。

例えば捻挫。

ひねった直後の腫れを引かせるのに、お灸が役に立ちます。

ひねったり、スポーツなどで特定の関節を使いすぎて腫れて熱を持った時、患部には急性の炎症が起きています。

炎症は患部に起こっている筋肉などの損傷を回復させるために血液が集まったり、ケガしていることの自覚を促すために痛みを起こす物質が出たりします。

生体に、これらの異常が生じると発赤 (ほっせき:redness)、熱感 (heat)、腫脹 (swelling)、疼痛 (pain) を特徴とする徴候が生じる。これを炎症の4徴候(ケルススの4徴候)と呼ぶ。さらに組織異常の発生部位によるが、機能障害(Functio laesa)をもたらし、これをあわせて、炎症の5徴候(ガレノスの5徴候, CALOR)と呼ぶ。(wikipedia)

鍼灸の学校の病理学の授業で習います!忘れてたけど!

 

そういう意味では腫れるのは正しい生体反応ではあるんですが、往々にしてこれが過剰になってしまい、患部に血液等が停滞してしまうのです。

早期回復のためには、それを適切に取り除く必要があります。

西洋医学的にはアイシング(氷で冷やす)をしますね。

それは、血管を収縮させて患部に必要以上の血液などが流入しないようにし、細胞の活動を抑えて疼痛物質の発生などを止めるという意味があります。

 

さて、この作業をお灸で行うことができます。

患部は東洋医学的に言うと、急性の瘀血ができた状態になっています。

急性の瘀血は熱を持っています。

その患部に停滞している熱を取り除くために、知熱灸というお灸をします。

知熱灸は、患部にもぐさを置いて火をつけ、熱さを感じるか感じないかくらいの段階でもぐさを取り除く、つまり”熱さを知る”くらいの程度で止めるというお灸です。

そうすると、患部の熱が表面に引き寄せられて発散していきます。

これは虚を補うというよりは、実を取り除くことを目的にしたお灸の使い方になります。

あったかくて気持ちいい~、というお灸ではないんですね。

その後はりをチクチク感じるくらい患部にあてると、瘀血も取り除かれていき、結果腫れが引いていきます。

目的は同じでも、西洋と東洋ではやり方が正反対なんですね。

 

なお、アイシングは長くても20分程度にしないと、今度は患部の回復が遅れてしまうので注意が必要です。

また、普段腰痛などでシップを貼ったりすることはよくあると思いますが、気持ちいいかもしれませんが患部を冷やすことになりますので、状況をよく観察して使うようにするとよいと思います。

 

ほかにも以前ご紹介しましたが、お灸はこんな使い方もあります。

 

subaruhari9.hatenablog.com

 やり方次第では、お灸はいろいろと使えて便利なんですね。

きちんと使い分けられるよう、手技の技術を鍛えていきたいと思います。

 

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