睡眠は、からだのケアの第一歩
忙しくて眠る時間がない。
スマホを見過ぎてつい夜更かし。
睡眠時間を削ってもやらないといけないこと、やりたいことがありがちな現代の私たちです。
しかし、ほんとは睡眠はきちんととらなくてはいけません。
ショートスリーパーという体質の人もいますが、そのツケが老後に回ってこないとも限らないのでは…?と思うこともあります。
睡眠は、その仕組みが完全に解明されている訳ではないのです。
しかし眠るということは外的刺激に対する閾値が上がりますので、生物としては襲われる危険性が非常に高まります。
とてもリスキーなことなのに、どの生物も眠りますね。
ということからも、からだにとってはとても重要な意味があると理解できるのではないでしょうか。
東洋医学的には、陰陽の関係から言っても、活動(陽)と休息(陰)はセットで考えるべきなので、休息の代表である睡眠は、そのバランスを保つ上で大事になります。
陽が盛んになると、それを冷ます=つまりそれを制御する陰も消耗します。
エンジンに対するラジエーターの役割と考えるとわかりやすいと思います。
睡眠を取ることで、日中消耗した陰が補われます。
睡眠不足で陰の補充が追い付かなくなると、陽はますます盛んになって病的に増えますので、陰虚証として症状が現れるようになります。
その症状の一つとして不眠があります。
陰虚になると、今度は寝たくても寝られなくなってしまうんですね。
すでにそうなっている方も、多いのでは…。
さて、陰を補うということは、五臓を補うということでもあります。
肝心脾肺腎、それぞれの日中の活動で消耗した分を修復するということです。
これは西洋医学的にみても同じことが言えます。
睡眠中は活動しないので、使ってない筋肉から肝臓に血液が集められます。
肝臓には小腸から吸収されたすべての栄養分が血液に乗り、門脈を通って集められます。
小腸から吸収されやすいように、栄養素はごく小さい分子になっています。
そこで肝臓は、吸収された栄養素を材料にして、今からだに必要なものへ次から次へ合成していきます。
たんぱく質、免疫物質、糖質、脂質、ミネラル、ビタミン、血液成分などですね。
からだの生化学工場と言われるゆえんです。
さらに、ごみ処理場としての働きもあります。
血液が集めてきた有害な物質を無害なものに変え、排出しやすいようにします。
アルコールがその代表ですが、薬も体には有害なものなので、それを無害なものに変えようとするため、その働きを超える量を服用して初めて薬の成分がからだに入ります。
つまり薬を飲むことは、肝臓の限界値を超えるように設計しているので、肝臓には負担がかかるのです。
このような、からだにとって超大事な仕事をしている肝臓は、睡眠中に主に稼働しています。
睡眠不足がよくない理由、わかりますね!
肝臓にのびのびと働いてもらうために、睡眠は必要なのです。
毎日ちょっと気をつければいいのに、気が付けば取り返しのつかないことになっていることってありますよね。
電子レンジの庫内を使う度に拭いていれば、ギトギトに汚れが溜まって洗剤を使っても落とせなくなる、もう捨てちゃおうか、、なんてことにならず、長く使い続けることができます。
毎日のちょっとした睡眠不足が重なって、肝臓のパフォーマンスが追い付かず、大きな病気につながることもあるかもしれません。
なんだか体調がよくないな、という時は、まずよく寝ることから変えていってみてはいかがでしょうか?