酸っぱいものを食べて、春を乗り切ろう。
最近、味や食べ物の話題が多くなっていることに気が付きました。
春になって、お腹が空いているのでしょうか。
今日も引き続き、味のお話しになります。
桜も満開となり、暖かい日も多くなってきて、春も本番といったところですね。
春は五行のカテゴリーでいうと木に属しまして、同じ仲間に肝(五臓)、酸(五味)、東(五方)などがあります。
こちらにまとめましたね。↓
「木」に属するものの特徴として、発散する、上昇するという上に向かって広がっていく作用があります。
春や肝の性質、怒という感情の性質、みな通底しています。
しかしながら、五味の「酸」はこの反対の収斂作用があります。
酸っぱいものを食べると実感しますが、キュッとからだが引き締まるような感じがしますね。
レモン、梅干し、酢の物、いずれもそうです。
これは、肝のもつ発散する作用が過剰になり過ぎないよう制御する働きがあるためです。
肝が発散作用を発動するには、血を消費します。
発散作用があるので活動的になれるのですが、それが続くと肝が働くための血が不足してきてしまいます。
そこで酸味を摂ると、からだ中にめぐっていた血が酸の収斂作用によって肝に集められ、肝が潤いを取り戻すことができるのです。
発散とは陽気を外に向かわせる作用ですので、それを制御する酸味は、陽気が旺盛になり過ぎるときにもバランスさせることができます。
運動のあと、柑橘系の飲み物など摂るとよいのはこのような東洋医学的な理屈もあります。
しかし、酸味を摂りすぎると血を回収しすぎて筋が引きつったり冷えたりして、かえって肝の作用を妨げることになります。
五味はほどよく取り入れることが大事です。
この反対が肺と辛味の関係になります。
肺は秋の収斂する気を持っていますが、辛味は熱を発散する作用があります。
肺が収斂すると気の作用も弱まっていくのですが、弱まり過ぎても肺がうまく働かないので、辛味で適度に気を巡らせてやるのがよいんですね。
他の臓については、
心の苦味も心の熱を冷ます作用があります。
腎の鹹味(塩辛い味)は腎の必要とする津液を集め温めます。
脾の甘味は拮抗作用はなくて、脾の働きそのものを助けます。
いずれも摂りすぎると、それぞれの臓を傷めます。
肝虚の人は血が不足してくると、もっと動きたい、もっと働きたいのにからだがいうことをきかないと感じ、本当は酸味で血を集めなくてはいけないのに、発散作用のあるコーヒーや辛いものを好みます。
そうなるとますます肝虚がすすんでしまい、余計疲れてしまう結果になります。
からだはそんなに無理がきかないようにできている、ということなのかもしれないですね。
とはいえ、このような五味の特徴を把握してうまく使えば、なかなか便利なものなったりもします。
運動の後の酸味もそうですが、お酒を飲むときに酸味のものを摂ると、お酒の熱(発散作用)を抑えられるので、酔いの回るのを抑えてお酒を味わうことができたりします。
反対に、手足が冷えているような時は、酸味のものを摂るとますます冷えてしまいます。
このような場合はショウガなど辛味のものを少し(汗をかかない程度に)摂れば、陽気がめぐって温まります。
春、浮ついた気持ちになっている時は、酸味のものを摂るとよいかもしれませんね。
うまく使い分けてみていただければと思います。