スピッツのCDデザインを考察する 6~「三日月ロック」「スーベニア」
しばらくお出掛けが続いていましたが、またスピッツのアルバムジャケットについて、続きを書いていきたいと思います。
10thアルバム「三日月ロック」:2002年9月11日リリース
前アルバム「ハヤブサ」で暴れてみた後、新しくプロデューサーに亀田誠治氏を迎えて製作されました。
スピッツは、このアルバムで落としどころが定まったように思います。
こういう曲、こういうバンドサウンドを作っていけばいいんだ、という確信を得たような、自信に満ちた安定感を感じる内容になっている。ような気がしています。
ジャケットも、いいですね!
汚部屋の中で足を投げ出し、髪もぼさぼさのままりんごをかじってる女の子が妙に魅力的。
足の裏、汚いぞ。
丸めた紙屑、無造作に結んで放ってあるレジ袋、雑に畳んだTシャツ、いろんな雑貨が散らばり、雑然としているんですが、なんだかおしゃれにも見えてしまう。
青いカーペットとジーンズ、黄色いTシャツと、手前の丸まってるのもTシャツかな?と、赤いスリッパや服?が目につきます。
それ以外は黒と白が多いです。
それによって青、赤、黄のコントラストが際立ち、またそれらがバランスよく散らばっているので、汚部屋なのにきれいに見えてしまうトリックが仕掛けられている、ように思います。
そしてかつてのコダックフィルムで撮ったようなテクスチャーが青、赤、黄のコントラストの強烈さを弱め、部屋全体を経年加工したかのような独特の雰囲気に仕上げています。
絹目写真(懐かしいですね)を見てるような、味のある処理ですね。
TシャツのロゴがSPITZになっているのもおしゃれ~。
なお、この青いカーペットは、CYCLE HITの1枚目で使われているのと同じものなんだそうですよ!
これです。↓
CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection
- アーティスト: スピッツ
- 出版社/メーカー: Universal Music LLC
- 発売日: 2017/07/05
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログを見る
11thアルバム「スーベニア」:2005年1月12日リリース
三日月ロックで自分達の場所を定めたスピッツは、安心したのか旅に出ます。
そしておみやげ(スーベニア)を買ってきてくれました。
って感じの、いろんな音楽性にチャレンジした意欲作です。
これまた余白をとてもうまく活かしたデザインですね。
三日月ロックが敢えて(だと思う)余白を設けなかったデザインにたいして、これはかつてのスピッツのアルバムジャケットらしい構成といえるかも。
女の子シリーズは続いています。
イラストっぽく見えますが、写真がベースになっています。
亀さんの重圧感がデザイン全体に安定感をもたらしていてかっこいいですね。
水の流れが鉛筆タッチで描かれているのも素敵です。
その中にさりげなくSpitzとあるのが遊び心というか、センスいいです。
夢のある、アルバムの中身にも期待が湧くような素敵なジャケットだと思います。