スピッツのCDジャケットデザインを考察する 2~「名前をつけてやる」「惑星のかけら」
スピッツのCDジャケットデザインについて、続いて書いていきたいと思います。
発売順で、2ndと3rdアルバムについて。
2ndアルバム「名前をつけてやる」:1991年11月25日リリース
1stアルバムのヒトデに続き、2枚目はねこちゃんです。
ですが、歪んだ加工が施されています。
ねこはその姿そのものがかわいいので、全身か顔を中心にした写真を使うことが多いと思うのですが、 それをあえて歪めてしまうところが面白いですね。
顔もあさっての方を見ているし。
それでいて、ピンとした耳や、くりっとした黒目、ピンクの鼻、ふわふわの毛などのねこの持つかわいさはそのまま残されている。
足も見えないので、デブねこちゃんにも見えて、なんともいえない愛嬌があります。
そしてさらに、背景の朱色がとても印象的です。
猫というかわいいモチーフには、それを引き立てる淡い色を合わせてもいいところを、インパクトのある赤で余白を全部塗りつぶしてしまっています。
朱色と黄茶(ゴールド)のほぼ2色での構成は、かなりのインパクトがありますね。
とはいえ、この色の組み合わせはわりと定番な方で、東京オリンピック(1964年)の日の丸と五輪のデザイン、バーバリーのチェックなど、いろんなところでみることができます。
そのせいか、インパクトのあるわりには、落ち着いた雰囲気もあります。
「かわいい」モチーフをいろんな方向からいじっていて、かわいいはずなのにそれだけじゃない、不思議な印象を与えてくるんですね。
それでいて全体のデザインは色の組み合わせや余白などのバランスがよくて、すっと入ってくるので、なんか変なのに、最終的な感想は「かっこいい」になってしまう。
ねこをちょっと歪めただけで秀逸なグラフィックデザインに仕上がっているというところがほんとに素晴らしくて、しかもスピッツらしさをそのまま伝えているのがすごいと思います。
その当時のスピッツにこれ以上ないデザインではないでしょうか。
個人的にも、とても好きなジャケットですね。
3rdアルバム「惑星のかけら」:1992年9月26日リリース
- アーティスト: スピッツ,草野正宗,長谷川智樹
- 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
- 発売日: 2002/10/16
- メディア: CD
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3rdアルバムにして初めて人物が登場。
しかし、見知らぬ男の子。
日本人の子どもらしいのに、立派な弓を引いている。
色々な意味で、不思議なジャケットです。
男の子は何を狙っているのか?
上半身裸で、ブカブカのズボンなんだけど、特に民族衣装っぽい訳でもなく。
男の子には強い光(日差し)があたっているのに、後ろの木々は逆光で真っ黒。
草原なのか?ゴルフ場みたいなベタな緑色。
そのせいなのかわからないですが、大自然の中というよりは広い公園かな?と思ってしまうような背景。
CDジャケットなのに、縦長の画面。CDサイズとの差の部分を余白と呼ぶべきかなんなのか。
そしてその余白?のところには脈絡のないマークが3つ。
1st、2ndと辛うじてアルバムタイトルとバンド名(スピッツ)の記載があったが、ここへきてどちらもなくなっている。
肌色のオレンジ、空の水色、木々の黒、芝生?の緑の妙に強調されたコントラスト。
男の子の真剣な眼差しと、今にも放ちそうに引かれた弓から伝わる妙な緊張感。
こんなに謎だらけなのに、デザインとしては不思議とまとまっているような?
なんだこれ、と切り捨てられない不思議な魅力を感じでしまうんですが、ファンのひいき目なんでしょうか?