女性のための鍼灸院 すばるのブログ

横浜市港北区大倉山。静かな町の片隅にある鍼灸院です。鍼灸を通して、妊活、美容鍼、更年期などの女性のお悩みに取り組んでいます。

秋になると気分が落ち込む、、、冬季うつかも?

最近、夕方5時くらいにはもう外が暗くなってきましたね。

冬至に向けて昼間の時間がどんどん短くなっていっています。

日差しそのもののちからも弱々しく、木から葉が落ち、風に吹かれてカサカサと道の脇に溜まっていきます。

なんともさみしく、元気がなくなる気がしてしまいます。

ただでさえそんな気持ちになりやすい季節ですが、病的に落ち込みやすい状態になってしまう方がいます。

季節性うつ病のひとつの冬季うつ(ウインターブルー)を発症する方が、増える時期なのです。

 

冬季うつの特徴

  • 気分の落ち込み
  • やる気の低下
  • 集中力の低下
  • 倦怠感
  • 嗜(し)眠(眠りたがる)傾向、朝起きられない
  • 食欲の増進
  • 体重の増加

通常のうつとは違い、食欲がある点が特徴です。

そして春が近づくにつれて回復します。

 

冬季うつの原因

様々な研究から、日照時間が短くなることで引き起こされると考えられています。

そのため、光を積極的に浴びる療法などが治療に用いられています。

学習スタンドの2、3倍ほどの明るさの光を毎日何時間か浴びることで、改善がみられるそうです。

 

東洋医学で見た冬季うつ

冬季うつは、東洋医学的な視点からみると、さもありなん…といえるかもしれません。

これまでも何度か書いてきたように、この冬季うつの特徴は、秋の五臓である「肺」が虚した時にみられる症状と重なるからです。

 肺は五行「木・火・土・金・水」の金のカテゴリーに属します。

同じ金のカテゴリーには

五季=秋

五方=西

五臓=肺

五官=鼻

五主=皮毛

五気=燥

五味=辛

五志=憂・悲

五声=哭(=泣)

五音=商(=レの音。サシスセソの歯音)

などがあります。

季節は秋だし、日の入る方向の西だし、感情は優とか悲だし、、さみしいイメージが湧きますでしょうか。

肺の働きは発散と収斂ですが、もうすぐ立冬二十四節気では秋も終わりに近づいています。

夏の暑さを発散する時期は過ぎ、今は冬に向けて収斂の気が旺盛になります。

言い換えると、気の向きが内向的になるのです。

冬はエネルギーを無駄に使わないようためこんでおき、春に萌芽するためにちからを蓄える時期ですので、このエネルギーの内向きな方向性は間違ってはいません。

ですが、肺が虚している、つまりしっかり働いていないとバランスが崩れてしまい、この特徴が過剰にからだに表れてしまいます。

そのため、感情は悲しい、憂鬱に傾きがちになり、涙もろくなるなどうつっぽい症状が出やすくなります。

また肺の気を巡らせるという働きが弱ってしまうことも、気が塞いでしまうのでうつ傾向をもたらします。

 

また、食欲が増進するという冬季うつ特有の症状は、肺が弱ったことで夏の熱の発散が十分にできず、胃に熱がこもるために起こります。

もともとの収斂作用による内向きの気の流れによってからだの内側に熱が集まるので、そうでなくても秋は食欲が出ます。

食欲の秋、というやつですね。

東洋医学の生理として、胃に熱がある状態は、胃の働きが活発になるので食欲が出ます。

ですがこの場合は、バランスが崩れて必要以上に胃に熱が残ることによる食欲増加になります。

 

さらに、冷えがあって寒証になっていると、眠りたがる傾向になります。

古典では「久しく臥すと気を傷(やぶ)る」とあり、横になってばかりいると気が損なわれる、つまり気のめぐりが悪くなるので肺に良くない、と説明されています。

この悪循環で気のめぐりは悪くなる一方という訳です。

 

これを解消するには、肺の働きを助けてあげるよう、体を動かして気を巡らせるのがよいです。

また少し辛味を取り入れて、内向き過ぎる気をちょっと外に向ける(発散)させるのもよいかと思います。

 

秋はちょっとさみしい気持ちになったり、食欲が増すのは、五行論的には通常反応です。

が、生活に支障がでるくらいだと、肺虚証として治療してみたほうがいいように思います。

 

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