東洋医学は、からだをどう見ているのか1~五臓
これまでのブログの中でも、肝虚だとか肺が弱いだとか、東洋医学のことばを使って話をしてることがありました。
話の流れでなんとなくイメージすることはできたかもしれませんが、一体どういうことかをここでまとめて説明してみたいと思います。
東洋医学でからだを考えるとき、西洋医学の解剖学的な見方を当てはめようとするとうまくいきません。
東洋医学でも、臓器などのからだを構成する肉体の各部位については認識していますが、生理と病理を捉え、それに対する治療法を考える際、それを重要視してないのです。
陰陽については以前少し説明しました。↓
陰陽ではものの根元的な属性を表していますが、五行はすべての事象を5つの要素に分けてその性質をとらえるものです。
基本は「木・火・土・金・水」で、とにかくなんでもすべての事象をこれにあてはめます。
人体の場合は「肝・心・脾・肺・腎」の五臓になります。
これに陰陽を絡めると、五臓が陰にあたり、「胆・小腸・胃・大腸・膀胱」の五腑が陽となります。
肝は肝臓のことでしょうか?と聞かれることがありますが、イコールではありません。
肝臓は臓器の名前ですが、肝はシステムの名前になるからです。
これは、会社組織に似ています。
会社には、営業部や経理部、企画部などの部署があります。
3階は営業部のフロアですと聞いていってみると、営業部というプレートはあるけれど、そこは営業部員が集まって仕事をしている場であり、営業部そのものがモノとしてある訳ではありません。
「営業部」とはモノではなく、組織の名前だからです。
「株式会社からだ」には、営業部や経理部の代わりに肝とか腎があります。
それらが単独、または相関的に関わり合いながら、からだが運営されています。
また会社には、各部署に社員がいて様々な情報やお金が回っていますが、からだも五臓を「気・血・津液」が巡っています。
…なんとなく、イメージできましたでしょうか?
各臓の主な仕事は
肝…血の流量や配分の制御。気血津液の巡りをスムーズにする(疏泄)。
心…血の循環。活動のための熱を産生。精神の安定。
脾…気血津液の製造。消化吸収。
肺…気や津液を全身に巡らせる。外界からの防御。呼吸器系。
腎…津液(水)の制御。生殖器系、発育や加齢に関わる。
となります。
これらの仕事がなんらかの原因でうまくいかなくなった時、虚すという言い方をします。
からだがそういう病理状態になっていると見極めたのが証で、例えば肝のときは肝虚証、と言います。
五臓の位置関係は↓のようになります。
方位や色も五行で分けます。
まとめると、
木のカテゴリー=東・青・肝・胆など
火のカテゴリー=南・赤・心・小腸など
土のカテゴリー=中央・黄・脾・胃など
金のカテゴリー=西・白・肺・大腸など
水のカテゴリー=北・黒・腎・膀胱など
一方、五臓の関係性は、五角形で見る方が分かりやすいです。
ピンクの矢印が相生関係で、以前ちょっと触れたように↓
一方がもう一方を生み出す関係です。
親子関係にも例えられます。
水色の矢印は相剋関係で、一方がもう一方を弱める関係です。
営業が安く受注したために、企画部は厳しい予算でプランをまとめなくてはいけないとか、そんな感じです。
五臓について、基本的なところをまとめてみました。
慣れないと理解しづらいところもあると思いますが、ポイントを押されられればイメージを広げることができると思います。