東洋医学を知るには、イメージすることが大切。
鍼灸治療のイメージに「怖い」というワードがつきものです。
この「怖い」は、2つ意味を持っています。
ひとつは「針」が怖い。
針を体に刺す=注射=子供のころの予防接種=痛い思い出
というイメージが出来上がってしまっているわけです。
治療は痛くないんですよと言っても、怖いというイメージを持っている方は、針が刺して痛くないわけない、と思っているので、実際治療を受けて体験していただくことで、だいたい克服できます。
もうひとつは、「治療そのもの」が怖い。
よくわからないから、何されるのかイメージできないという怖さです。
スピリチュアルなものと何が違うのか。
よくなった気がしても、思い込みだろう。
そう考えたくもなるというのは、理解できます。
気の流れ、とか、冷えがある、とか、なんだそれ、です。
ですが、鍼灸治療は東洋医学の理論にもとづいて体を診て、治療計画を立てて、施術をしています。
霊感で視るとか、気を送って邪を払う、とか、そういうことはしていなくて、学術的な見地から治療にあたっています。
普遍的なエビデンスを提示できないという意味では、科学的ではないかもしれません。
東洋医学は長年の臨床データの積み重ねから編み出された、現場主義の理論です。
その理論のおおもとに、陰陽論という自然観があります。
世の中のすべてのものを「陰」と「陽」の2カテゴリに分け、その関係性から全体を考える思想です。
昼=陽 夜=陰
上=陽 下=陰
男=陽 女=陰
火=陽 水=陰
動=陽 静=陰
外=陽 内=陰
暑=陽 寒=陰
春夏=陽 秋冬=陰
開ける=陽 閉じる=陰
広がる=陽 縮まる=陰
とかですね。
体も自然の一つですので、常に陰陽のバランスをとろうと働きます。
暑い(陽)と冷や(陰)そうとして汗(水=陰)をかく。
寒い(陰)と温め(陽)としてからだを震わせる(動=陽)。
日中(陽)に活動(陽)して、夜(陰)に休む(陰)。
このようなバランスが過度にふれると、
寒い(陰)ところにいたら、熱(陽)が出た。
というように、病態として現れます。
つまり風邪をひく、ということも、からだが陰陽のバランスを整えようとする過程ととらえることができます。
いいかえると病とは、バランスが崩れたままの状態が継続していることと考えられます。
この陰と陽のイメージができると、自分でも体調管理をすることができます。
イライラしている時っていうのは陽かな、だったら体を休めて(陰)みよう
気分が落ち込んでいるのは陰だから、少し散歩(陽)してみよう
でも外に出る元気もない(さらに陰)や、、部屋で温かいもの(陽)を飲もう
このように考えてみることで、ちょっとした体の変化をつかむ一助になるのではないでしょうか。
こんな感じで自然に東洋医学の考え方を生活に取り入れることができれば、鍼灸治療に対するハードルも下がるかも…しれないですね。