とにかくからだによい野菜、とは?
トマトが赤くなると医者が青くなる。
とか
一日一個のリンゴは医者を遠ざける
とか、健康にまつわる食べ物の諺はいくつもあります。
日本にも食べ物に関する諺はたくさんありますが、健康に結び付くようなものは意外と少ないかもしれません。
諺ではありませんが、「常に食すべし」と言われた食べ物があります。
それは、大根です。
江戸時代中頃、医者であり儒学者であった貝原益軒の記した著書に、「養生訓」というものがあります。
現在でいうところの健康ガイドブックともいうべき内容で、食べ物はもちろん生き方考え方にまで及ぶ、長生きして人生を楽しむためにはどうしたらいいかのすべてが項目分けされて記述されています。
その中で、からだによいとして絶賛しているのが大根なんですね。
大根はジアスターゼというでんぷんの消化を助ける酵素のほか、様々な消化酵素を含んでいます。
米をたくさん食べた江戸時代の人たちには、でんぷんをよく消化してくれる大根はありがたかったでしょう。
また、大根に含まれる辛味成分は咳を止めたり、喉の痛みを和らげる働きがあります。
炎症を鎮める作用があるのです。
京都の了徳寺というお寺では、毎年12月、大根を炊いて振る舞う行事があるそうです。
温かく炊いた大根を食べると中風にならないという言い伝えがあるそうなんです。
中風とは今でいうところの脳血管障害(脳出血、脳梗塞)でそれの後遺症である麻痺も含んだ病名です。
大根で中風が防げるかは難しいところでしょうけれど、大根が病を防ぐという考え方は根付いていたと思われます。
だからといって大根ばっかり食べていればいい訳ではもちろんありません。
養生訓では他にも、五味(酸、苦、甘、辛、塩)をバランスよく摂るべし、とか、腹八分目を心がけようとかということも述べています。
冬の大根は辛味も少なくなっていますので、大根をすすんで料理に使ってみてはいかがでしょうか。