人間の寿命は120年?
最近は平均寿命が延び、人生100年時代とか言われています。
平均寿命はともかく、健康寿命は延びているように感じますね。
そうなると80歳くらいまでは働くことを前提に人生プランを考えるべきという学者さんもいます。
確かに、20年位前だと、80歳を過ぎた方はお年寄りだなと感じましたが、今やお年寄り感はあまりありません。
60歳なんて全然現役です。
お元気な方は増えていますし、若くなっています。
この調子だと、100歳が普通になるのも時間の問題なんでしょうか。
どこまで、人間の寿命は延ばすことができるのでしょうか。
何百歳までも、生きることが可能なのか?
この問いには、医学的には120歳前後が限界だろうと言われています。
細胞の老化や機能の衰えを考えると、限界を迎えるのが120歳なんだそうです。
また、染色体についているテロメアという塩基が細胞分裂の度に短くなり、120歳までにはなくなって細胞を再生できなくなる=死、とかいう研究もあります。
興味深いのは、120歳という限界寿命は、聖書にも、東洋思想にも登場するんです。
聖書の創世記には、ノアの洪水の後の人間の寿命を120歳とするという記載があります。
さて、東洋医学的にみても、120歳という数字が出てきます。
東洋医学というか、東洋思想、陰陽五行説にもとづいて考えた場合、人の寿命は120歳になるんです。
60歳になると還暦だとしてお祝いをします。
還は輪の意味で、1周した、ということです。
これは、日本や中国での年の数え方の干支(えと)にもとづいています。
壬申の乱とか戊辰戦争とか言うように、年の表し方は天干と地支の組み合わせになっています。
(現在の日本では地支の部分だけが干支と呼ばれていますが。)
天干=甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸
地支=子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥
これを甲子、乙丑…と順番に組み合わせていくと、60回で最初に戻るのです。
天干は訓読みすると、きのえ、きのと、ひのえ、ひのと…となります。
きのえ=木の干、きのと=木の支、ひのえ=火の干…
となっていて、五行の木火土金水×干支の組み合わせになっています。
干支は、天干地支というように、天地=陰陽を表しています。
干支=えと=兄(え)弟(と)でもあります。
この組み合わせにより、天干は空間を表していると言われます。
地支は、方位や季節を表していて、子が北(冬)、丑寅が東北(冬と春の境)、と12で一周します。
つまり地支は時間を表しています。
天干地支の60の組み合わせをすべて回ることで、時空のすべてを一周することになります。
そして、陰陽の考え方を持ってくると、次の1周があります。
最初の還暦が陽で、次の還暦が陰です。
話がちょっとマニアックになってしまいましたが、このように陰陽五行説を用いると、人は120年生きるということになるのです。
では逆になぜ現在120歳まで生きられないかというと、不健康なことをしているからなんですね。
黄帝内経という最古の医学書にもすでに、長寿について、食飲有節起居有常不妄作労という記述があります。
節度ある飲食や生活を過ごし、仕事は無理をしないことが大事だという内容です。
江戸時代に書かれた養生訓にも、短命は、みずからいのちをそこなえるなり、という記述があり、長寿の秘訣としてまずは怒りと欲を抑えて心気を養うべしとあります。
(その後健康法についてたくさん書かれています。)
120歳まで生きるにはストレスフリーで節度ある生活をすればよい訳ですが、それもまた難しい訳で。。
太く短く生きるか、細く長く生きるかは自分次第、ということになるんでしょうか。