人類の宝が失われた…
台風21号関連のニュースを見ていたら、次のニュースとして、とんでもない悲報が届けられた。
ブラジルのリオ国立博物館で火災が発生し、収蔵品の9割以上が消失したというのだ。
規模としては日本の国立博物館の何倍もの収蔵品を有する、世界屈指の博物館、ここにしかない貴重な資料が。
博物館の収蔵品は、そのひとつひとつを何年もかけて研究し、温度や湿度を管理して劣化を最小限に保ち、修復が必要であればその時代の材料を集めてできる限り元に近い状態にし、、そういうすべての、たくさんの人たちの努力も知識もみんな消えてしまった。
収蔵された美術品を作った過去の人々の生活を知る手だても失われた。
歴史を証明するものを失うっていうのは、その歴史の先にあるブラジルの人たち、ひいては世界の人たちのアイデンティティーの一部が失われたようなものではないのか。
もし日本の国立博物館が焼けてしまって、日本の歴史を裏付けるたくさんの資料が失われたらと考えると愕然とする。先日見た素晴らしい縄文土器を始め、仏像も、書も、絵画も、工芸品も、、あー恐ろしい。そういうことが起こってしまったのか。
ISに破壊されたパルミラの遺跡、タリバンに破壊されたバーミヤンの石仏、どれもほんとに憤りとやりきれなさを感じたけれど、長い歴史の中で起こりうることなのかもしれないと考えてみたりもした。
けれど今回の火災は、予算不足でスプリンクラーさえ設置していなかったという人災。あまりに歴史に対して軽視してないでしょうか。ひどい。
恐竜の化石を始め何百万年もの歴史のなかのさまざまな資料が、たった一夜で消えてしまう。
そしてそれは取り返しがきかない。
こんなことが2度と起こらないよう、すべての博物館は管理をしっかりしてほしい。
日本もひとごとではないと思います、自然災害も多い国だし、万全な管理体制を願いたいです。
からだを冷やさないことと、温めることは違う?!
妊活で大事なのは、からだを冷やさないことです。
不妊の改善のために、からだを温めましょう。
不妊治療中、どちらもよく聞くことであり、どちらも大事なことです。
でも、同じことを言っているようで、実はちょっと違います。
どういうことでしょうか?
からだを冷やさないということは、からだの熱を奪われないようにするということです。
一方、からだを温めるということは、冷えたからだをもとに戻すことと、血流をよくすること。
そしてからだの熱量をふやすということです。
どちらも最終的な目的は温かいからだを保つ、ということなのですが、これをごっちゃにしてしまうと、逆効果にさえなる場合もあります。
からだを冷やさないために
空気層を保つ
からだはその熱を保つために、体毛の間に空気層を作っています。
寒いときセーターやダウンジャケットを着るのも、体温で温められた空気層を厚くするためです。
そのため、風にあたり続けたり、水に浸かったり寒いところにいると空気層が飛ばされたり冷やされたりしてからだが冷えます。
体温を奪われないようにする
からだが熱を持ちすぎそうになると、汗をかきます。
発汗は、からだの表面に水を撒き、蒸発する際に熱が奪われる作用である気化熱を利用した、積極的にからだを冷やそうとする働きです。
冷たいものを摂らない
からだの内部(内臓など)は37度ほどに保たれてますが、冷たい物を飲んだり食べたりすれば、その分温度が下がります。血管は収縮して血流は悪くなり、内臓の働きが悪くなります。さらにそれをもとに戻そうとするために無駄にエネルギーを消費してしまいます。
からだを温めるために
血流をよくする
寒いところでは、熱の放散を防ぐため末梢血管が収縮します。
温かいものに触れたり、ストーブにあたったりすると、血管が広がって血流量が増えるので、冷えていたところが温まります。
また、からだの熱は、血液によって全身に行き渡ります。例えて言えば、床暖房。ボイラーで温められた水が床下の配管を流れることにより、床が温められます。
それと同じように、きちんと血流が保たれていればからだはちょうどよい体温を保つことができます。
筋肉を動かす
血液は筋肉を動かすときにできる熱を利用して温められます。
(高校の生物的に言うと、ATPが消費され、ADPになるときにエネルギーが放出されます。)
激しい運動をしなくても、ストレッチなどでからだがポカポカしてくると思います。
筋肉による熱産生なので、筋肉量が多いと熱も多く産生されます。
食事を摂る
食べ物を消化吸収する過程で、熱が生まれます(食事誘発性熱産生)。
温かい食べ物を摂るからからだが温まるだけではないんですね。
また安静時には、肝臓が吸収した栄養素を代謝する際にも熱が産生されます。
これらのことを踏まえると
靴下を履く→冷やさない
運動をする→温める
食事をする→熱を作り出す
など、行動を分類できるかと思います。
今どれが足りなくて、何をすればいいのか、この区別がついていると分かりやすくなるのではないかと思います。
からだを冷やさない、温めるをうまく組み合わせて温かいからだを作るためにどうすればいいのか?はまた説明したいと思います。
湿度の高い雨の日は、冷えに注意です!
まさに今日のような日のことです。
外に出るとひんやり。
半袖では寒いくらい。
でも少し歩くと汗ばんでくる。
雨も急に降ってきて、濡れてしまった。
電車に乗ったら、エアコンが効いていて、寒い。。。
真夏のような高い気温でなくても、湿度が高いと少し歩いただけでもすぐ汗が出てきます。
そうすると、気温が高くないですから、かいた汗でからだが冷えやすくなります。
そこに雨で服や靴下が濡れてしまっている×エアコンなどの条件が重なると、さらに冷えてしまいます。
からだはまだ夏の状態のままで、毛穴が開いているので冷えには弱く、すぐに冷えが入ってきてしまいます。風邪をひいたり、おなかをこわしたりするリスクが高くなります。
体感的にそれほど寒く感じなくても、いつも以上に冷え対策をやってみてください。
*外出先では汗や雨で濡れたところはよくふいて一枚上着をはおる。
*家に帰ったらすぐに着替え、夜はしっかりお風呂に入る。
温めることをしてみると、からだが冷えていたことを実感できると思います。
これだけでも、体調を崩さずにすむことにつながりますので、ちょっと気を付けていただければと思います。
鍼灸治療の効果はいつ頃出るのか?
鍼灸治療を受けたら、どのくらいで効果が出るのか、気になるところだと思います。
はりのイメージによっては、たちどころに楽になる!と想像される方もいらっしゃるかもしれません。
症状や目指すところによりますが、治療を受ける際の参考になればと思いますので、だいたいのところを書いてみたいと思います。
---Contents---
腰痛
ぎっくり腰は、立ち上がれないほど痛い場合は1回でキレイに取れることは少ないかもしれません。軽いものですと、1回目でかなり楽になり、2回目で多少気になるがほとんどよい、というところまでいけることが多いです。
慢性的な腰痛は、治療後軽くなり、また徐々に痛みが増してきて、を繰り返すうちだんだん痛みが出てこなくなるような感じが多いです。
頭痛
緊張性の頭痛は、治療のあと痛みが取れているか軽くなることがほとんどです。
治療を重ねていくうち、頭痛自体が出にくくなるような傾向にあると思います。
偏頭痛で生理の周期と絡んでいるものは体質からくるので、時間がかかると考えています。
腹痛
生理痛は痛みのある日に治療すると楽になることが多いですが、定期的に治療していると次の生理の生理痛が軽くなる傾向です。冷えの度合いなどにもよります。
胃腸の痛み、特に食べたものによる場合の一時的な痛みは治療で楽になることが多いです。逆流性食道炎などは、時間がかかる場合もあります。
肩こり
その度合いにもよりますが、鍼灸治療ではかなり楽になると思っています。
1回の治療でとても楽になったと感じる場合は多いですが、仕事や生活環境でだんだん凝ってきてしまいますし、筋肉質かなどの体質にもよります。
しかしかなり長い間肩こりに悩まされてきた方でも、治療を続けているうちに楽になっていくことが多いです。
五十肩
痛みが完全に取れるには定期的に通っていただけた方がよいと思います。
慢性的な炎症が絡んでいますし、ホルモンの変化など体質の影響も受けての痛みなので、肩こりよりは簡単ではないな、という印象です。
めまい
1回の治療でもめまいが出なくなることはあります。
ただ、からだを整えることが結果的に大事だと考えていますので、予防の意味も含め、定期的な治療が望ましいかなと思っています。
円形脱毛症
定期的な治療が大事ですが、続けていると効果を感じます。
ストレスと関連があるので、脱毛部分の治療だけでなく、からだを整えることも必要になります。
他にも鍼灸治療が有効な症状はありますが、それぞれ記事として取り上げた時に触れたいと思います。
その症状が出てから時間が短いと治るまでの時間も短く、慢性的な症状は治るまでに時間がかかるというのが基本的な傾向です。
ある日本兵の戦争体験記
患者さんではないのですが、96歳の方とお話する機会がありました。
8月だから戦争の話を聞いたという訳ではなくて、今インドネシアのジャカルタで開催中のアジア大会についての世間話から、戦争当時は隣のパプアニューギニアに行ってたんだよね、というお話を始められたのです。
実体験のお話は貴重かもしれないと思ったので、聞いたまま忘れないようにという意味も込めて、伺ったお話を書いてみようと思います。
・昭和17年の20歳の時に召集令状がきて、仙台飛行場(現在の仙台空港かと)に集合した。
・そこでだいたい北か南かどちらに行くかの指示が出された。
先に呼ばれた人たちが冬服を持ってくるように言われていたのを見て、北に行くんだな、自分は寒いのが苦手だから北は嫌だなと思っていたら、自分は夏服を指示され、ほっとした。
・その後、函館→広島へ移動し、マカオ→シンガポール→バリクパパン(インドネシア)→ティモール(インドネシアか東ティモールかは不明)の各港に滞在しつつ移動。ここで最後かと思っていたところ、その後パプアニューギニアに移動した。
・パプアニューギニアでは、整備兵として飛行場での仕事に従事。
港に到着した飛行兵を空港まで護衛することもあった。
出撃の時に飛行兵に持っているだけのタバコをあげたりした。
ーーータバコはどうやって入手したのですか?
・軍の指令室?に出入りできるようになっていて、タバコなどの備品を置いてある部屋があり、置いてあるものは持ち出してよかった。
・飛行兵は攻撃して帰ってくるものあり、整備不良で攻撃まで行かずに帰ってくるものもあった。
・別の飛行場では、爆弾を積んで突撃する特攻隊が出撃していた。
ーーー食料は支給された?
・そんなものはない。逃げ出した農家にあった干したトウモロコシ、畑の作物、畑の周りや森に生えているバナナやマンゴーなどがあり、食べ物には困らなかった。魚やカエルも食べたりした。田舎の出だから、そういうのには強い。
・ある時畑に生えていた植物を食べたら、食べた仲間みなおなかを壊した。後から来た医者?が、これはタバコの葉だ、と。
ーーーそんな生活で、精神的におかしくなったりは?
・自分は平気だったが、そういう人もいた。コメが支給されたときの竹筒をのぞきながら、ずっと何か言っている人を見た。
・いよいよ食料がないという時、パプアニューギニアに到着した時まで持っていた、出征の時親戚?近所の人?にもらった一升瓶に入れた酒盗(かつおの内臓の塩漬け)を森に置いていたのを思い出し、仲間と食べた。実は酒盗は苦手だったのだが、その時から食べれるようになった。こんなもの(すごいごちそうというニュアンス)、どこに隠してたんだ!と感激された。
・その後、パラオへ移動した。移動の途中、ペリリュー島(戦争末期の激戦地)で煙が上がっているのが見えた。
・パラオで終戦を迎えたが、帰りの船がなく?、なかなか帰れなかった。家族には生死不明証が届けられたので、その後(1年後くらい)に帰った時には驚かれた。
戦争の話を聞こうと取材した訳ではないので、ところどころ不明な点はありますが、かなり細かいところまで覚えていらっしゃるというのが驚きでした。強烈な体験だったということなんだと思います。
銃撃戦など命がけの体験はしなかったようなのですが、もしかしたらつらい記憶は忘れてしまっているのかもしれません。
とはいえ、話しぶりはどことなくユーモラスで、タバコの葉を食べておなかを壊した話など、笑い話のように話されていました。若かったからなのでしょうか。
最後に、そんなこともあってから、こんなに長生きしちゃいました(笑)と世間話のように締めくくられたのが、なんとも、彼にしか言えない言葉だなと、長生きすることの凄みのようなものを感じてしまいました。
でももうほんとに体験者から話を聞くことができる時間は短くなってきているのだな、と実感します。20歳だった方が96歳ですからね。。体験がつらくて話したがらない方もいらっしゃいますし、今回は貴重なひと時だったと言えるかもしれません。
虫歯はないのに、歯が痛む時は
歯が痛くて歯医者に行ったのに、虫歯はありませんと言われたことはないでしょうか。
副鼻腔炎、顎関節症、喰いしばりでも歯が痛む場合もありますが、疲れやストレスで痛みが出ることもあります。
このような歯の痛みは、鍼灸治療で軽減または解消することが可能です。
鍼灸では、そもそもなんで歯が痛むのかは考えないんですね。
東洋医学的にどうなってるかを診るだけです。
からだがどういう状態にあって、そのせいでどのような影響が出たために歯が痛むのだ、という考え方です。
そのため、歯の治療の後痛みが取れない、でも、ストレスで歯が痛い、でも、診たてが同じなら同じような治療になります。
虫歯そのものは治せませんが、虫歯による痛みも同じです。
でもだいたい
虫歯や歯を削った痛み→腎虚から陽明経に熱
ストレスや肩こり→肝虚から陽明経に熱
というパターンが多いかと思います。
からだになんらかの虚があり、そのために発生した熱が歯を通っている経絡に停滞するから痛みが発生する、というのが東洋医学的な歯痛です。
陽明経というのが、歯を通っている経絡です。
この歯を通っている経絡上の経穴(ツボ)を使うので、歯にはりはしません。
からだの虚を補い、停滞している熱をさばけば痛みの原因がなくなりますので、痛みが治まるという理屈ですね。
上の歯には陽明胃経、下の歯には陽明大腸経が通っているのでそれぞれの経絡の経穴を取ればよいのですが、実際は臨床で確認しながら、というのがいいような気がします。
肩こりが原因の場合は、これに肩こりを取る治療を追加すればぶり返すことも防げます。
おもしろいことに、冷たい水が歯にしみる場合としみない場合は病態が違うと考えて、使う経穴も違います。
東洋医学的にいうとしみるのは虚熱、しみないのは実熱が原因となります。
実熱は余った熱、虚熱は陰が足りなくて相対的に多くなった熱を意味します。
歯が痛くて鍼灸に来られる方はいませんけど、今日歯医者に行ってきてまだなんだか痛いのよね、という話になった時など、治療に追加したりしています。
こんなの鍼灸に関係ないか、と思って痛みやつらいことをそのままにしないでお話しくだされば結構治療できるものも多いので、お悩みはぜひご相談ください。
縄文展に行ってきた!
(狩りから稲作へbyレキシ)
と聞かれたら迷わず縄文土器と答えたい自分です。
なので、この国立博物館で開催中の「縄文-JOMON-展」にはぜひ行きたかったのですが、終了間際の今日、やっと行くことができました。
縄文時代、というと、毛皮を腰に巻いて槍を持って動物を追いかける、みたいな原始的なイメージも無きにしも、でした。
しかしこの美術展を見て、縄文時代の豊かな生活と高い文化レベルに驚かされました。
まずもう土器の造形と装飾がとてもすてき。
考え抜いたであろうデザインの美しさ。
文様の彫り込みの正確さや細かさ。
全体から溢れてくる力強い生命力。
否が応にも引き込まれます。
切手にも使われたことがある国宝の火焔土器は常設展で時々見ることができていたけれど、今回の展示では全方向から眺めることができ、細部もよくみることができました。
火焔土器が他にも複数あることも知らなかった。どれもデザインが違っていて見比べるのも楽しい。
土器はこればかりではなくて、いろんな形のものがありましたが、どれも丁寧な装飾が刻み込まれたり、盛り付けられたりしていて、全体の姿やバランスも美しく、稚拙や素朴などとは決して言えません。縄文土器という美術史の1ジャンルとして確立しています。
何人もの子どもが真剣にスケッチをしてたのが印象的でした。
土器とならんで有名な土偶も、豪華ラインナップ。
教科書で見たことある!というものが軒並み揃っていました。
人物像としては単純な造形なんですが、どれも全体のバランスがよく、特徴はおさえられていて、ただ単にシンプルなのではなくて、敢えてこの形に作ったという感じ。作品になっているんです。
他にも動物の形の土器、装飾品など様々なものが展示されていました。
衣食住だけでなく、生活に楽しみや感動をもって過ごしていたことが伝わってくるようでした。
展示点数も多く、とても見ごたえのある美術展で大満足。きてよかった!
今週末までなのですが、チケットは事前に買った方がよさそうです。
チケット売り場に長蛇の列で相当時間かかりそうでした。
この秋は他にも見たい美術展がいろいろあるので、これからも楽しみです。