スピッツのCDジャケットデザインを考察する 4~「ハチミツ」「インディゴ地平線」
ゴースカのライブレポを書き終えたので、スピッツのアルバムデザインについて書いていきたいと思います。
6thアルバム「ハチミツ」:1995年9月20日リリース
4月に発売されたシングル「ロビンソン」のヒットにより、ようやくメジャーの表舞台に上がったスピッツ。
その勢いそのままに、このアルバムも大ヒットとなりました。
来るべき時が来たということですね。
アルバムジャケットもスピッツらしさが全開の、なかなかのシュールさです。
かわいい女の子、お花畑、小振りなギター。
かわいい要素が盛り込まれています。
なんですが、なんだか変なんです。
女の子は、ほんとに女の子なのか、もうちょっと大人なのかわからない。年齢不詳な感じ。
ワンピースの赤も妙に毒々しい鮮やかさ。
笑顔とはいえ、その顔面は口から上が見切れています。不気味ではないですか!?
白いお花もぼんやりしてなんの花かわからなくて、テクスチャーみたい。
それになにより、画面の1/3ほどを占める、左上の沼。
薄茶色く濁ってます。。
しかも陰影というか、光もなく、現実感が乏しくなっています。
そのため、沼の薄い茶色(それと女の子の肌の色)、草の緑、ワンピースの赤と、これまでのジャケットデザインでも見られた、3色での色としての構成が引き立っています。
毒々しい感じとかわいさが同居して、ほんのちょっとのバランスでかわいいに傾いているんですよね。
まさにスピッツの、特にこのアルバムの世界観を表していると思います。
7hアルバム「インディゴ地平線」:1996年10月23日リリース
スピッツの人気が決定的となって、ORICON初登場1位の「渚」や、今や合唱曲になってる「チェリー」を含むこのアルバムもヒットしました。
とはいえ内容は売れ線狙いという感じでもなくて、どっちかというと地味かもしれないくらい。
このアルバムジャケットは、これまでの加工して写真かグラフィックデザインかわからなくなってるようなものではなくて、わりとはっきりした写真になっています。
ハチミツとは一転、シュールさや毒気もなく、秋晴れのような青い空を背景に、クラシカルなライダースーツに身を包んだ女の子が、今まさにバイクで走り出そうとしている瞬間を捕らえています。
ある意味初めて現実的なデザインです。
それでも、青、白、黄色(と少しの赤)で3色のコントラストが見られ、余白の使い方もそうですが、スピッツのアルバムデザインの共通性もあります。
なんとなく、ですが。
ロビンソン、チェリー、空も飛べるはずなど、シングルがたて続いて売れて有名になったスピッツ。
そんな状況に振り回されないように自分達の位置をしっかり捉えていたいという思いがあったのではないかな、と。
ヒットして売れて、さて次はどこを目指そうか…?
走り出そうとする女の子の姿もまた、そんなスピッツの姿のようでもあり。
まあ勝手な深読みですが。