歯の健康と、東洋医学
私事ですが、本日の午前中、親知らずを1本抜きました。
それにちなんで?歯のことについて今日は書いてみたいと思います。
東洋医学では、歯は骨の余り(骨余)と言われていまして、骨の一部と考えます。
骨は腎と関係の深い臓器になりますので、歯も腎と関わりがあります。
色体表でいうところの「五主」を参照ください。↓
実際に(解剖学的に)、骨と歯は構造が似ていて、骨の成分と同じリン酸カルシウムが主な成分のエナメル質の中に、象牙質をはさんで歯髄という血管の通う結合組織があります。
骨にも骨髄があり、骨を栄養しています。
東洋医学では、髄は腎の精から作られていると考えられていて、それが海のように溜まっているところとして表現されている「髄海」は脳を指します。
脊髄液は脳に通じていますので、理解はしやすいかと思います。
腎精とは、父母から受け継いで初めから持って生まれた「先天の精」と、食事の栄養分と呼吸で得られた空気から生成された「後天の精」が腎に蓄積されたものです。
腎精は生命活動のエネルギー源になります。
そのため、腎虚になって腎精が不足すると骨が栄養されずにもろくなると考えられます。
腎は成長や老いに関係していますので、腎精が不足している子供のころは虫歯になりやすいですし、高齢になると歯が抜けやすくなります。
また、昔は妊娠すると歯がもろくなると言われました。
今は定期検診で栄養状態をみていますのであまりそのようなことはないかもしれませんが、以前は虫歯になりやすかったりしたようです。
これも妊娠で腎虚になると起こりやすいと考えられます。
また、色体表の同じ五主のところで、脾は「肌肉」となっています。
これは筋肉以外の結合組織や脂肪の部分を指していて、歯茎もそれにあたります。
そのため、歯肉炎などは脾虚になっていることが多いようです。
また、歯には陽明経が通っていて、下の歯には足の陽明経つまり胃経、上の歯には手の陽明経が関係します。
胃熱がこもって、それが陽明経に出ると歯茎が腫れたり痛んだりすることがあります。
その辺については以前書きました。↓
このように、東洋医学の考え方からするとからだの健康状態は歯にも影響を及ぼすことがわかります。
それを裏付けるように、現在、歯の不具合がさまざまな病気と関係があることがわかってきています。
震災時、歯が磨けないことが原因で誤嚥性肺炎になる方が急増しました。
歯周病菌は心臓の血管に炎症をおこし、心筋梗塞を引き起こす原因のひとつです。
腎の相剋関係の相手は心です。
また歯周病菌はインシュリンの分泌を抑制し糖尿病のリスクを高めますし、糖尿病は歯周病を引き起こしやすくなります。
糖尿病は古くは消渇と言って、脾虚とのかかわりが深いとされる病気です。
歯を大切にするということは、からだの健康にもとても重要なんですね。
親知らずは、麻酔をして数分後、あっさりと抜歯されました。
抜いた歯をもらってきましたが、歯の横に穴が開いていて、これでは炎症がおこっても仕方ないという状態でした。
このまま痛みをやり過ごして歯周病になっていたら大変でした。
健康な歯を抜くことへの賛否(親知らずでも)はあるかもしれませんが、虫歯になりかけていた歯は抜いてよかったと思います。
抜歯後、痛み止めをもらいましたがさいわいそれを服用するほどの痛みも出ず、なんとかやり過ごせています。
合谷に置き鍼しているのが効いているのかも。
鍼はなにかと便利です(笑)