これも薬に?漢方薬に使われている身近な食材。
以前に比べて、内科や産婦人科などで漢方薬を処方されることが多くなってきたようです。
漢方薬といえば、薬効あらたかな特別な見知らぬ植物などが使われているイメージがありますが、意外にいつも食べたりしているものも使われています。
原産が中国なので馴染みがないだけで、実はそんなに難しいものは使われていないんですね。
生姜
以前も取り上げましたが、生姜は様々な種類の漢方薬に使われています。
そのまま乾燥させたものが「生姜(ショウキョウ)」で、発汗作用があります。
蒸してから乾燥させたものが「乾姜(カンキョウ)」で、からだを温める作用があります。
熱を加えるとジンゲロールという成分がショウガオールに代わり、それで作用に違いが出ます。
加熱で成分が変わることを、過去の薬学者はわかっていたんですね。
紫蘇(しそ)
薬味としておいしいしそは、乾燥させると蘇葉(ソヨウ)という生薬になります。
蘇葉も発汗作用があり、気を巡らせる働き(理気)があります。また、消化器の働きを助けます。
ミント
スーっとする爽やかな香りは、お茶やお菓子などいろんな食べ物に使われていますね。特に今年はチョコミントが流行っていたような。
ミントは薄荷(ハッカ)という生薬になります。
シソ科の植物ですので、シソと同じような効果がありますが、発汗作用より理気や消化を助ける働きが大きいようです。
香りのよいものは気を巡らせる働きがありますので、生理前で鬱々とした気分の時などに積極的に摂るとよいです。
爽健美茶や十六茶は、ハトムギ茶をベースに様々なものをブレンドしたお茶です。
ハトムギ茶は美容にいいということで、女性向きのお茶として売り出されているのだと思います。
ハトムギは麦茶と同じく、鳩麦を煎ったお茶ですが、漢方では種皮を取り除いた核を乾燥させて作ります。
生薬はヨクイニンと呼びます。
ヨクイニンはイボに効くとして有名ですが、からだに溜まった余分な水(痰湿)をさばく働きがあります。
そのため、湿が滞っておこるむくみや湿疹、関節痛などの症状に対する漢方薬に用いられます。
蜂蜜
しっかりした甘味をもつはちみつは、お菓子だけでなく、料理に使えばこくも出ます。
漢方では消化を助ける働きと、肺に潤いを与える働きがあります。
また生薬を丸剤としてまとめるために使われることもあります。
シナモン
甘い香りのシナモンは、アップルパイなどの香り付けに書かせないですね。
ウィンナコーヒーにシナモンスティックが添えられていることもあります。
シナモンは、漢方では、桂枝と桂皮の二つがあります。
シナモンの木の枝と皮とで作用が違うのですね。
桂枝は生姜などと同じで軽い発汗作用があり、風邪の初期に用いる漢方薬の葛根湯にも入っています。
桂皮はからだを温め、消化の働きを助けます。お菓子などのシナモンはこの桂皮です。
みかん
みかんの皮は乾燥して陳皮という生薬になりますが、薬味として七味唐辛子のひとつになっています。
胃腸の働きを改善するものとして、多くの漢方薬に用いられています。
柑橘系の香りも理気の作用があります。
菊
菊の花は山形県などでおひたしなど食用されますが、漢方薬でも使われています。
生薬も食用と同様に花びらの部分を使います。
作用としては解熱や消炎ですので、からだを冷やすように働きます。
いかがでしょうか。
漢方薬は単独の生薬ではなく様々な作用のある生薬をいくつか合わせてひとつの処方になりますので、食用として用いるのとは違います。
それでも、身近な食べ物にもからだをよくする作用があり、それを引き出しているのが生薬なのだと思えば、毎日の食事を大切にしようという気持ちに、ちょっとなりますね。
笑いは心とからだの万能薬(^o^)
笑うことが健康によい、いうことは最近よく聞きますね。
最近というよりは、もう一般的な認識になってきているかもしれません。
一昨日のNHKでもこんな特集が↓
笑うことのどんなことがからだによいのでしょうか?
あらためてまとめてみます。
笑うことで健康によいとされる効果
- NK細胞が増加し、免疫力がUPする
- ガン細胞を抑制する
- 副交感神経が活性化し、ストレスを和らげる
- 血糖値が改善(下がる)
- 認知症の予防
- 美容(小顔、たるみ防止)効果
など、なんだかいいことずくめです。
しかも、作り笑いでも効果があるとのこと。
お箸をくわえると、笑ったのと同じような筋肉が使われるそうです。
作り笑いもよいですが、笑うというのは、コミュニケーションの中で生まれます。
人とポジティブなかかわり合いをすることが、からだにとってもよいことなんですね。
笑顔は、心理的に自分にも他人にもよい影響を与えます。
笑顔の心理的効果とは
相手に安心感を与える
笑顔を相手に向けるということは、「あなたに対して敵意はありません」「あなたのことを受け止めます」という意思表示として伝わります。
初対面の時に無表情だったり、緊張した面持ちだったりすると、相手は何を考えているのか予測できません。
予測できないから、怒ってるかもとか、相手にされないかもとか、悪い方に考えて身構えます。
高圧的な印象を与えることもあります。
でも笑顔だと、上記のポジティブな印象を与えることができるので、相手が警戒心を緩め、こころを開きやすくなります。
個性を伝えられる
笑い方は、その人の個性が表れます。
豪快に大声で笑う人もあれば、優しく微笑む人もいます。
笑い方で、どんな性格なのかなんとなく知ることができるのですね。
人から好かれる
笑顔は相手の警戒を解き、相手を受け入れ、自分の内面を見せる。
また、一緒にいて楽しい、嬉しいという気持ちも伝わるので、相手も自分といて楽しいんだなと感じることができます。
その結果、相手も自分にポジティブな感情を持つようになります。
笑顔の人のまわりには、自然と人が集まります。
まさに「笑う門には福が来る」ですね。
自分の容姿に自信がないと、ネガティブになることがあるかもしれません。
しかし人は、本当は容姿を見ているのではなく、自分が受け入れられるかどうかを見ています。
基本的に人は怖がりなので、安心できることを重要視しているからです。
人間関係をよくしたいなと思っていたら、笑顔を見せることから始めてみてはどうでしょうか。
笑顔が苦手な方は、身近なところから練習してみるとよいかもしれません。
お店のレジで、ありがとうといいながらちょっと笑ってみるとか。
忙しいのでリアクションがないこともありますが、練習なので、気にせずに。
店員さんも人ですから、嫌な気はしていないはずです。
東洋医学の笑顔
東洋医学でも、精神的に安定していると笑顔になると考えます。
五行では、人が口から発する音を五行に分けた五声(呼・笑・歌・哭・呻)というものもあり、その中で「笑」は五臓の「心」と同カテゴリーです。
また感情を表す五行の五志(怒・喜・思・優悲・驚恐)では、「喜」が「心」と同じになります。
心は精神を管理しているので、心が安定しているとポジティブな感情を持ち(=喜)、自然に笑顔が出るのです。
逆に心の働きが悪くなると、異常な笑いとなります。
サスペンスなどで、追い詰められた犯人が急に笑い出すことがありますが、精神的に崩壊しそうになると笑いが出るという訳です。
また、人を困らせたり、ばかにしたりしながら笑う人も、こころに問題を抱えていると言えるかもしれません。
つまり心の状態が、笑い方に表れるとも言えますね。
笑いが心臓病によい、との記事もありました↓
笑いと心臓病 | 今月のトピックス | 公益財団法人 日本心臓財団
何千年も前の古典の記述を、現代医学が裏付けているようで、興味深いですね。
秋になると気分が落ち込む、、、冬季うつかも?
最近、夕方5時くらいにはもう外が暗くなってきましたね。
冬至に向けて昼間の時間がどんどん短くなっていっています。
日差しそのもののちからも弱々しく、木から葉が落ち、風に吹かれてカサカサと道の脇に溜まっていきます。
なんともさみしく、元気がなくなる気がしてしまいます。
ただでさえそんな気持ちになりやすい季節ですが、病的に落ち込みやすい状態になってしまう方がいます。
季節性うつ病のひとつの冬季うつ(ウインターブルー)を発症する方が、増える時期なのです。
冬季うつの特徴
- 気分の落ち込み
- やる気の低下
- 集中力の低下
- 倦怠感
- 嗜(し)眠(眠りたがる)傾向、朝起きられない
- 食欲の増進
- 体重の増加
通常のうつとは違い、食欲がある点が特徴です。
そして春が近づくにつれて回復します。
冬季うつの原因
様々な研究から、日照時間が短くなることで引き起こされると考えられています。
そのため、光を積極的に浴びる療法などが治療に用いられています。
学習スタンドの2、3倍ほどの明るさの光を毎日何時間か浴びることで、改善がみられるそうです。
東洋医学で見た冬季うつ
冬季うつは、東洋医学的な視点からみると、さもありなん…といえるかもしれません。
これまでも何度か書いてきたように、この冬季うつの特徴は、秋の五臓である「肺」が虚した時にみられる症状と重なるからです。
肺は五行「木・火・土・金・水」の金のカテゴリーに属します。
同じ金のカテゴリーには
五季=秋
五方=西
五臓=肺
五官=鼻
五主=皮毛
五気=燥
五味=辛
五志=憂・悲
五声=哭(=泣)
五音=商(=レの音。サシスセソの歯音)
などがあります。
季節は秋だし、日の入る方向の西だし、感情は優とか悲だし、、さみしいイメージが湧きますでしょうか。
肺の働きは発散と収斂ですが、もうすぐ立冬で二十四節気では秋も終わりに近づいています。
夏の暑さを発散する時期は過ぎ、今は冬に向けて収斂の気が旺盛になります。
言い換えると、気の向きが内向的になるのです。
冬はエネルギーを無駄に使わないようためこんでおき、春に萌芽するためにちからを蓄える時期ですので、このエネルギーの内向きな方向性は間違ってはいません。
ですが、肺が虚している、つまりしっかり働いていないとバランスが崩れてしまい、この特徴が過剰にからだに表れてしまいます。
そのため、感情は悲しい、憂鬱に傾きがちになり、涙もろくなるなどうつっぽい症状が出やすくなります。
また肺の気を巡らせるという働きが弱ってしまうことも、気が塞いでしまうのでうつ傾向をもたらします。
また、食欲が増進するという冬季うつ特有の症状は、肺が弱ったことで夏の熱の発散が十分にできず、胃に熱がこもるために起こります。
もともとの収斂作用による内向きの気の流れによってからだの内側に熱が集まるので、そうでなくても秋は食欲が出ます。
食欲の秋、というやつですね。
東洋医学の生理として、胃に熱がある状態は、胃の働きが活発になるので食欲が出ます。
ですがこの場合は、バランスが崩れて必要以上に胃に熱が残ることによる食欲増加になります。
さらに、冷えがあって寒証になっていると、眠りたがる傾向になります。
古典では「久しく臥すと気を傷(やぶ)る」とあり、横になってばかりいると気が損なわれる、つまり気のめぐりが悪くなるので肺に良くない、と説明されています。
この悪循環で気のめぐりは悪くなる一方という訳です。
これを解消するには、肺の働きを助けてあげるよう、体を動かして気を巡らせるのがよいです。
また少し辛味を取り入れて、内向き過ぎる気をちょっと外に向ける(発散)させるのもよいかと思います。
秋はちょっとさみしい気持ちになったり、食欲が増すのは、五行論的には通常反応です。
が、生活に支障がでるくらいだと、肺虚証として治療してみたほうがいいように思います。
悩ましい便秘…。原因と解消法とは
便秘とは、便が週2、3回しか出ない、排便はあるがスッキリしないなど、排出すべき便が大腸に留まっている状態のことです。
病気とも言えないですが、苦しかったり、肌が荒れたり、体調に悪い影響を与えることもよくあります。
そんな便秘に悩む女性は案外多く、なかなか頑固な傾向にあります。
便秘の原因
病気によるもの
過敏性腸症候群の場合、便秘が続いたり、下痢と便秘を繰り返す症状が出ます。
大腸がんも、便秘が症状になる場合があります。
その他糖尿病など便秘となり病気があります。
薬によるもの
便秘を引き起こしやすいお薬があります。長期にわたり服用している薬があって便秘が続く場合は、処方した医師に相談してみるとよいと思います。
生活が不規則
腸をはじめ消化管は自律神経が支配しています。腸の動きを活発にするのは副交感神経です。副交感神経はからだが休息状態の時に働きますので、過労などで生活が乱れるとそれが便秘につながりやすくなります。
偏った食生活
食物繊維の少ない、たんぱく質の多い食事だと便秘になりやすく、また水分が足りないとか、お酒を飲みすぎて脱水傾向だったりしても便が硬くなり便秘につながります。
運動不足
運動不足はおなかへの刺激が少なくなりますし、便を押し出す腹筋の力が低下すると、出にくくなります。
便意を我慢する
人間には、「胃直腸反射」と言って、胃に食べ物が入った刺激で直腸が動き出すという反射の作用があります。
この作用は朝ごはんの時が一番はっきり表れますので、忙しくて時間がないとか、朝ごはんは食べないとかでこの反射を利用しないと、便を出すタイミングを失い、出しにくくなってしまいます。
下剤の飲みすぎ
便秘だからといって日常的に下剤を服用していると、からだがその刺激に慣れてしまい、かえって便秘を増長していしまいます。
これら原因のどれかに心当たりがあれば、それをなくすように心がけて生活することが大事です。
東洋医学的に見た便秘
便秘はよくみられる症状でもあるため、東洋医学でも細かく原因を考えることができます。
からだに熱が多い場合の便秘
寝不足や過労、ストレスなどでからだの陰が虚し(損なわれ)、相対的に熱が旺盛になると、水分が少なくなって便秘になります。
この場合の便秘は、おなかが張って苦しい感じがします。
また、高齢者は腎が虚していることで陰虚になりやすく、年齢によるものなので頑固だったり慢性的な便秘になります。
出産などで血が少ない(血虚)時に、からだの水分が損なわれることで便秘になることがあります。
瘀血があっても、秘傾向になります。瘀血によって熱が大腸に停滞したり、血そのものが乾くので水分が不足して便秘になります。また便は出ても硬く、コロコロした感じです。
旅行先で便秘になるのは気秘といって気の滞りが原因です。慣れない場所、他人と過ごすことなどによるストレスが気を滞らせるためですが、旅行に限らずストレスがあると便秘になりやすいといえます。
からだが冷えているための便秘
からだが冷えていると、通常の反応としては下痢になりますが、小便の回数が多いなどで水分が少ない状態にあると便秘になります。
冷えが原因の便秘は、あまりおなかが痛くなったり、張ったりする不快感が少なく、何日も出なくても案外平気でいられることが多いです。
また、冷えによる気の停滞があると、肺の表裏関係にある大腸が働かずに便秘になります。
このタイプの便秘に下剤を使うと体力を消耗してますます寒証がすすみますので、体力を付けたり、からだを温めたりします。
体質的に冷えている方の便秘は頑固でなかなか解消しにくい傾向です。
食物繊維を多くとるなど腸を刺激するのも、この便秘の場合よくないことがあります。
東洋医学では体質やその時の状況で便秘の原因が違いますので、治療も変わってきます。
これをしたら治る!というものはなく、様々な要因から便秘が引き起こされます。
からだにあった対処法をとることが大事になってきますので、安易に薬に頼らずにからだの状態を見極めたうえで対応するのがよいと思います。
スピッツのCDジャケットデザインを考察する 3~「crispy!」「空の飛び方」
引き続き、スピッツのアルバムデザインについて書いていきたいと思います。
4thアルバム「crispy!」:1993年9月26日リリース
インディアンの羽飾りを被ったマサムネさんがジャケットに。
4枚目にして初めてバンドメンバー(ボーカルだけだけど)が登場です。
が、変装(コスプレというべきか?)した上に目がちらっと見えるだけで、それとはわからないほどの露出…。これが精一杯だったのかな。
そしてこれまでと違うのがもうひとつ、アルバムタイトルがわりと大きく載っています。
画面の2/3はインディアンの羽飾りが閉めているんですが、コントラストがつけられて細かいところはつぶれてほとんどが赤のベタ塗りで、羽のふさふさと顔の黄色の2色で画面のほとんどを埋めています。
その中で白い縁取り部分と側頭部の青い模様がアクセントになっています。
赤、黄色、白にちょこっと青と、挑戦的な目線が入って、全体的に元気がいい印象。
これまでのちょっとシュールで静かな世界観と違って、キャッチーな勢いがあります。
今回のアルバムは、スピッツにとってこれまでとはちょっと方向性を変えた内容になっていることもデザインに表れているのかもしれません。
デビューして2年経ち、アルバムを3枚出したけれどあまり売れなかったスピッツ。。
このままやりたいようにやっていくかどうか考えたとき、自分達を支えてくれたスタッフの気持ちに答えようと、売れることを意識してバンドを続けていく選択をします。
有名なプロデューサーを招き、ポップなメロディーやオーケストラをバックに使ってみたりなど、いろいろとチャレンジし始めたのがこのアルバムなのです。
個人的にはスピッツのアルバムデザインの中では好きな方ですね。
色がはっきりしていてそのバランスがいいし、画面の切り取り方が粋だなと。
なお、アルバムで視線がこちらに向いている(まっすぐではないけど)のも、このアルバムのみです。
5thアルバム「空の飛び方」:1994年9月21日リリース
天使風な羽をつけた女の子、花の模様のテクスチャー、黄色のフィルター加工。
おしゃれに寄せてきた、という印象です。
素敵なんですが、これまでのスピッツらしさ、、ひねりが効いてるところとか、グラフィカルが構成とかが薄れてしまったと思ってしまいます。
バンド名は黄色の補色である青い枠の中にはっきり載せられています。
一般リスナーへ訴求したのかなぁ。
このアルバムから、デザイナーさんが変わったのですが、まだちょっと模索段階だったのかもしれません。
頑張ってみた4thアルバムがあまり振るわず、いろいろと試しているちょっと苦しい時期だったのですが、内容はヒット前夜といってもいいような雰囲気もあるような気がします。
この半年後にブレークするなんてわからない訳で、振り返ってこそ言えることなのですが。
ネガティブ気味な内容に傾きましたが、デザインとしてはかわいいし、わざとらしくないふさふさの羽がかわいくて素敵です。
またスピッツのアルバムに女の子が登場した最初のもので、今後のデザインの布石にもなっているとも言えます。
シュールなのもかわいいのも飲み込んで、結局スピッツのデザインになっているんですよね。
東洋医学は、からだをどう見ているのか1~五臓
これまでのブログの中でも、肝虚だとか肺が弱いだとか、東洋医学のことばを使って話をしてることがありました。
話の流れでなんとなくイメージすることはできたかもしれませんが、一体どういうことかをここでまとめて説明してみたいと思います。
東洋医学でからだを考えるとき、西洋医学の解剖学的な見方を当てはめようとするとうまくいきません。
東洋医学でも、臓器などのからだを構成する肉体の各部位については認識していますが、生理と病理を捉え、それに対する治療法を考える際、それを重要視してないのです。
陰陽については以前少し説明しました。↓
陰陽ではものの根元的な属性を表していますが、五行はすべての事象を5つの要素に分けてその性質をとらえるものです。
基本は「木・火・土・金・水」で、とにかくなんでもすべての事象をこれにあてはめます。
人体の場合は「肝・心・脾・肺・腎」の五臓になります。
これに陰陽を絡めると、五臓が陰にあたり、「胆・小腸・胃・大腸・膀胱」の五腑が陽となります。
肝は肝臓のことでしょうか?と聞かれることがありますが、イコールではありません。
肝臓は臓器の名前ですが、肝はシステムの名前になるからです。
これは、会社組織に似ています。
会社には、営業部や経理部、企画部などの部署があります。
3階は営業部のフロアですと聞いていってみると、営業部というプレートはあるけれど、そこは営業部員が集まって仕事をしている場であり、営業部そのものがモノとしてある訳ではありません。
「営業部」とはモノではなく、組織の名前だからです。
「株式会社からだ」には、営業部や経理部の代わりに肝とか腎があります。
それらが単独、または相関的に関わり合いながら、からだが運営されています。
また会社には、各部署に社員がいて様々な情報やお金が回っていますが、からだも五臓を「気・血・津液」が巡っています。
…なんとなく、イメージできましたでしょうか?
各臓の主な仕事は
肝…血の流量や配分の制御。気血津液の巡りをスムーズにする(疏泄)。
心…血の循環。活動のための熱を産生。精神の安定。
脾…気血津液の製造。消化吸収。
肺…気や津液を全身に巡らせる。外界からの防御。呼吸器系。
腎…津液(水)の制御。生殖器系、発育や加齢に関わる。
となります。
これらの仕事がなんらかの原因でうまくいかなくなった時、虚すという言い方をします。
からだがそういう病理状態になっていると見極めたのが証で、例えば肝のときは肝虚証、と言います。
五臓の位置関係は↓のようになります。
方位や色も五行で分けます。
まとめると、
木のカテゴリー=東・青・肝・胆など
火のカテゴリー=南・赤・心・小腸など
土のカテゴリー=中央・黄・脾・胃など
金のカテゴリー=西・白・肺・大腸など
水のカテゴリー=北・黒・腎・膀胱など
一方、五臓の関係性は、五角形で見る方が分かりやすいです。
ピンクの矢印が相生関係で、以前ちょっと触れたように↓
一方がもう一方を生み出す関係です。
親子関係にも例えられます。
水色の矢印は相剋関係で、一方がもう一方を弱める関係です。
営業が安く受注したために、企画部は厳しい予算でプランをまとめなくてはいけないとか、そんな感じです。
五臓について、基本的なところをまとめてみました。
慣れないと理解しづらいところもあると思いますが、ポイントを押されられればイメージを広げることができると思います。
瘀血(おけつ)を解消して、巡りのよいからだに。
不妊の原因にもなってしまう瘀血ですが、できるだけ瘀血ができないようにできたらいいですね。
瘀血があると、不妊だけではなくからだのあらゆるところに不調が出る可能性があります。
更年期における不定愁訴の原因にもなります。
瘀血によって起こる症状
肩凝り
肩甲骨の間の凝り
頭痛
にきび
腰痛
便秘
目の下のクマ
しみ、そばかす
鬱、気持ちが塞ぐ
生理痛
このような症状に悩んでいる場合、瘀血があるかもしれません。
瘀血の原因については、前回述べました。
今回は瘀血を防ぐ方法を考えてみたいと思います。
ストレス
瘀血は血の滞りなのですが、気の巡りによって血もからだを流れるので、まずは気の巡りが整っていることが大事になります。
気の巡りが悪いことで様々な症状が表れますが、女性は血に関係することに障害が出やすいため、気の滞りが血の滞りの原因になりやすいのです。
気の巡りを悪くする一番の原因はストレスです。
ストレスを受けたときに、イライラと発散できるタイプの方はまだよいのですが、瘀血タイプの方はストレスをこころに溜め込みます。
溜め込んだストレスは気の流れを阻害します。
それが血の流れも悪くしてしまいます。
流れの悪くなった血は瘀血を生じますが、その瘀血がまた気の流れを阻害する、という悪循環に陥ってしまうのです。
ストレスを抱え、悩みすぎると胃潰瘍になることがありますが、これはストレスによる瘀血症状と考えます。
飲食の不摂生
食べ物の内容や捕り方によっても、瘀血の原因になります。
食べ過ぎ、甘いものは脾を傷(やぶ)ります。
脾が虚すことで余計な湿や熱が発生し、それが慢性的になると熱を受けた血が徐々に粘度を増し、停滞していきます。
そうして、瘀血ができていきます。
睡眠不足
睡眠が足りないということは、活動時間が長くなりますので、陽が旺盛になり陰が不足します。
陰が不足する(陰虚)と、体に溜まる余分な熱を冷やせなくなります。
陰虚では熱に関する様々な症状が表れますが、瘀血タイプの人はその熱のために瘀血ができやすくなります。
瘀血をできにくくしたり、解消するためには、ストレスとのつきあい方や生活習慣を見直す必要があります。
気の巡りをよくするために、からだを動かすことも大事です。
運動というほどではなくても、歩く時間を長くするとか、階段を使うようにするとか、日常生活の中でからだを動かすようにするだけでも十分です。
鍼灸では虚を補う治療が多いですが、瘀血の場合は瀉法といって、瘀血を散らすように少し手技を変えます。
(実際に出血させる訳ではありません。)
漢方では駆瘀血剤の桂枝茯苓丸などが処方されることが多いようです。
瘀血の症状に心当たりのある方は、生活習慣をちょっと振り返ってみてはいかがでしょうか?